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令和4年度 議会運営委員会行政視察報告

期日

令和4年7月20日(水曜日)~22日(金曜日)

視察委員

片岡慶行(委員長)、小田晃士朗(副委員長)、阪井昌行、山上文恵、光宗等、谷惠介、田中みわ子、定森健次朗、神田隆彦​

視察都市

月  日 視 察 先 調 査 事 項
 
7月20日(水曜日) 大阪府岸和田市​

議会改革について

7月21日(木曜日) 三重県四日市市
7月22日(金曜日) 三重県伊勢市

視察目的

 本市議会は、平成22年6月に制定した議会基本条例に基づき、議会改革に取り組んでおり、社会環境や経済情勢等が変化する中、さらなる議会活動の充実・強化、開かれた議会を目指していくため、議員提案による条例の制定・改正、長期欠席議員に対する報酬減額、議会録画中継の字幕表示など、他市における取り組みについて視察を行った。

大阪府岸和田市​

(1)調査内容

 岸和田市議会では、長期欠席議員に対する報酬減額、政策討論会、議会録画中継の字幕表示等について視察を行った。
 長期欠席議員に対する報酬減額では、条例制定の経緯や問題点等について説明を受け、過去に疾病により長期欠席をした議員がいたこと、議員の長期欠席に伴う報酬減額に関する条例を制定している議会が増えてきていること、長期欠席が市民の話題となった時期であったことなどから検討を行い、条例制定に至っている。議論を重ねる中で一番大きな問題となったのが、議員報酬の減額理由、減額の対象となる期間、減額割合、適用除外の対象といった項目の基準を定めることであり、他都市の状況を比較して、平均的な基準を設定しており、90日を超え180日以下であるときは100分の20の減額、180日を超え365日以下であるときは100分の50の減額、365日を超えるときは100分の100の減額としている。
 政策討論会は、市政に関する重要な施策について共通認識を醸成するとともに、政策水準を高めるため、活発な意見交換を行うことが議会基本条例に定められており、平成23年度より実施されている。全議員が3つの分科会に分かれ、各分科会で決められたテーマについて討論を行っており、月1回程度開催し、年間を通じて討論を行い、各分科会での討論終了後に毎年4月に全議員参加の全体会議において、各分科会で討論してきたことを報告し、市長部局に提言・提案を行っている。
 議会録画中継の字幕表示は、平成31年3月に手話言語条例が制定されたことがきっかけとなり、議員から議会録画中継の字幕表示の提案があったことから実施されている。本会議は地元ケーブルテレビ局が中継を行っており、テレビ中継に字幕表示を入れることができないか検討をした結果、設備導入に要する予算面や、技術面から難しいと判断し、今あるものを組み合わせて何かできないか検討し、インターネット録画中継で利用しているYouTubeの字幕表示機能を活用し、実施することとなった。

(2)質疑応答

 長期欠席議員に対する報酬減額に関する条例の制定に至った経緯、議員報酬の減額理由、減額の対象となる期間、減額割合、適用除外の対象、政策討論会での提言・提案、議会録画中継の字幕表示導入の経緯等について質疑が行われた。

(3)呉市での展開の可能性

 長期欠席議員に対する報酬減額では、報酬減額の対象となる事由や減額の対象となる期間、減額割合について慎重に議論を重ねる必要があると同時に、議員が果たすべき職責を踏まえ、長期欠席した場合の取扱いを研究していく必要性を感じた。
 政策討論会は、議員から積極的な政策立案・政策提言を行うために全議員で討論しており、議員の共通認識を醸成し、議員一人一人のスキルアップに繋がる取り組みであり、議会録画中継の字幕表示は、音声に文字情報が加わることで、聴覚障害者だけでなく、障害がない方にとっても分かりやすいものとなっており、開かれた議会の促進を検討するうえで、参考となるものであった。

三重県四日市市​

(1)調査内容

 四日市市では、議会モニター制度、議員提案による条例の制定・改正、高校生議会等について視察を行った。
 議会モニター制度は、市民に議会モニターとなってもらい議会傍聴等により感じた気づきや思いを広く聴取することで議会改革につなげていく活動で、市内24地区の市民センターから推薦された方、市内の大学から推薦された大学生、一般公募の方で構成されている。議会運営や広報など、議会に対する意見を文書で提出してもらい、意見交換会や研修を行い、改善に努めている。
 議員提案による条例の制定・改正は、議員政策研究会を経て、特別委員会を立ち上げるなどし、条例制定に至っている。議員政策研究会は全体会があり、全議員が一堂に会して意見交換を行い、市政に関する様々な課題に対して共通の認識を深める政策立案機能の向上を目的としている。過去には、議員提案により「四日市市防災対策条例」や「四日市市市民自治基本条例」の制定を行い、市長への政策提言として、「新しい図書館構想に向けた提言」、「人も動物も安心して暮らせる共生社会に向けた“7つの施策“」等がある。
 高校生議会は、平成30年度から実施しており、高校生がテーマごとに各委員会に別れて議論し、最終的に意見書を取りまとめて、議長に提出している。提出された意見書の内容を受け、常任委員会で所管事務調査を行うなど議会内で活用されている。
 その他、決算と予算を連動させた政策サイクルでは、議会基本条例に掲げた議員間討議と政策立案をより強化するため、決算常任委員会の審査において、まず分科会で市長部局への質疑や意見について、次期予算編成に向けた議員間討議を行い、その後、論点をまとめたシートを全体会で審査し、提言書として市長部局へ提出されている。議会基本条例には、提言について可能な限り政策や予算等に反映させるものと明文化されており、予算編成に反映されているかは次期予算審査の中でチェックシートにより確認している。

(2)質疑応答

 議会モニター制度の募集方法・年齢構成・提言内容、議員提案による条例の制定・改正の概要、高校生議会で提出された意見書の対応状況、決算と予算を連動させた政策サイクル等について質疑が行われた。

(3)呉市での展開の可能性

 議会モニター制度は、モニターとの意見交換や研修を行うことで、市民の意見を議会運営に反映させることができ、開かれた議会、市民参加の議会運営につながると思われるが、モニターの固定化や減少、年齢層の隔たり等、運営には課題も多いと感じた。
 議員提案による条例の制定・改正は、全議員が一堂に会して意見交換を行い、市政に関する様々な課題に対して共通の認識を深め、政策立案機能の向上を目指していることから、条例制定までの作業工程は機能強化につながるものであった。
 高校生議会は、未来を担う高校生が地方政治に興味や関心を持つようきっかけづくりとして実施しているが、若い世代からの様々な考えや意見を聴取することは議会の活性化につながるものである。決算と予算を連動させた政策サイクルでは、議員全員による全体会で論点シートを使用し、決算で審査した内容が予算編成に反映されているかを次期予算審査の中で確認するなど予算決算の連携強化に取り組んでいた。議会からの提言については、議会基本条例に可能な限り政策や予算等に反映させるものと明文化することとしており、議会が主導的に活動し、行政をチェックする機関として、議会の権能をさらに高めることができるのではないだろうか。今後の本市における予算決算の審査方法の参考としたい。

三重県伊勢市

(1)調査内容

 伊勢市議会では、長期欠席議員に対する報酬減額、高校生議会、議会業務継続計画(議会BCP)等について視察した。
 長期欠席議員に対する報酬減額では、条例制定の経緯や問題点等について説明を受け、三重県中南勢地区の正副議長が集まる中南勢都市議会において長期欠席議員の報酬の取扱いについて議論になったことから議会のあり方調査特別委員会の条例等検討分科会において検討項目に追加され、条例制定に至っている。議論を重ねる中で一番大きな問題となったのが、議員報酬と期末手当の減額割合の基準を定めることで、他都市の状況を比較し、議員報酬は、90日を超え180日以下であるときは100分の20の減額、180日を超え365日以下であるときは100分の30の減額、365日を超え730日以下であるときは100分の50の減額、730日を超えるときは100分の100の減額としている。また、期末手当は、90日を超え180日以下であるときは100分の30の減額、180日を超え365日以下であるときは100分の50の減額、365日を超えるときは100分の100の減額としている。
 高校生議会は、主権者教育の一環として、未来を担う高校生が模擬議会を経験することにより、市政や議会など政治に関心を深めてもらうことを目的に開催し、今後の市政の参考とするものであった。高校生が議長役を担い、伊勢市に対する疑問や要望を高校生の視点で議論を行い、議員は市職員役を担い質問に対する答弁を行っている。
 業務継続計画(議会BCP(Business Continuity Plan))は、災害などの緊急事態が発生した際に、災害を最小限に抑え業務の継続や復旧を図るための計画のことで、議会の本来的な役割とは別に災害本部と連携し、被災者の救援及び市の災害復旧のため、非常事態に即応した役割を果たすことや議会機能を停止することなく議会運営を行うことを目的として策定されている。各議員には地域から詳細な災害情報が寄せられるため、その情報を市の対策本部へ情報提供することにより災害対応が有益なものになるが、全議員が災害本部へ情報提供を行うと混乱が生じるため、議会の対策会議が市の災害対策本部と議員との窓口となり、情報伝達経路を構築したとのことである。
 また、全国で新型コロナウイルス感染症が急速に拡大していることから議会業務継続計画(議会BCP)に基づき、正副議長、議会運営委員会正副委員長、会派代表者等で構成する新型コロナウイルス対策会議を設置し、市の対応や感染状況を情報共有するとともに、市民の意見を市政へ反映させるための意見聴取会を行い、また、市民からの意見を確認するため、議会だよりに市民アンケートを同封し、意見の取りまとめを行い、市長へ要望書を提出する取り組みを行っている。議員の新型コロナウイルス感染時の対応フローチャートを作成しており、他市からの問い合わせが多数寄せられたとのことである。

(2)質疑応答

 長期欠席議員に対する報酬減額に関する条例の制定に至った経緯、議員報酬の減額理由、減額の対象となる期間、減額割合、適用除外の対象、高校生議会の運営方法、業務継続計画(議会BCP)の運用状況等について質疑が行われた。

(3)呉市での展開の可能性

 長期欠席議員に対する報酬減額では、報酬減額の対象となる事由や減額の対象となる期間、減額割合について慎重に議論を重ねる必要があると同時に、議員が果たすべき職責を踏まえ、長期欠席した場合の取扱いを研究していく必要性を感じた。
 高校生議会は、未来を担う高校生に市政や議会など政治に関心を深めてもらうために実施しており、若い世代からの様な考えや意見を聴取することで議会の活性化につながるものであった。
 また、呉市議会においても災害発生時の対応要領は定めているが、議会業務継続計画(議会BCP)は、議員だけでなく、議会事務局職員の災害発生時の行動基準も定めており、大規模災害等が発生して様々な制約がある中でも、議会としての機能を発揮することができるよう取り組んでいることから、対応要領を拡充していくことを念頭に入れ、研究していくべきであると感じた。