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あび渡来群游海面


あび渡来群游海面あび鳥

あび鳥の形状

 大きさは鵜に等しく、首が長く、くちばしは黒色で細長く鋭い。尾は極めて短く、羽毛は剛直である。
 脚は体の後方についており、褐色で水かきがあり、潜水に適している。
 あびの羽色は夏季と冬季では著しく変化する。夏羽は、背面は黒色で少し緑色光沢をおびている。
 顔と首はねずみ色を呈し、くびの下方には、ほぼ三角大の栗色を呈する部分がある。
 冬羽は、背面は暗黒色で一面に小白点が散在し、頭頸の上面はねずみ色で、不判然に白色を混えている栗色がなくなり、他の部分は純白である。

あびの生態

 あびは、北極圏やアジア大陸の北部で夏季に繁殖し、冬季に南下してくる渡り鳥で、我が国では、北海道以南の海上に渡来する。
 瀬戸内海には特に多く、豊島付近はその中で最も有名である。
 かつて、渡来するあびの数は数千羽とも言われていた。
 豊島の南にある「あび渡来群游海面」は、昭和6年2月20日、国の天然記念物に指定されている。
 また、「あび」は、昭和39年7月13日、広島県代表鳥(県鳥)に指定されている。

あび漁

 口伝えによれば、あび漁は、江戸時代から行われおり、この漁法は歴史が古い。
 あびは、毎年1月上旬より渡来してくるが、そのころ、多くの「イカナゴ」が網代(あび漁場)近くに集まり、波面に群れをなしている。また、その時期は鯛の産卵期であり海底には多くの鯛などが集まっている。
 これら符節を合わせたように集まってくる「鯛、スズキ」「イカナゴ」「あび」であるが、あびはイカナゴが大好物で、あびの群れは、イカナゴを追い、その群れを取り囲み、円陣を作りながら、水面であるいは水中で捕食する。
 追われるイカナゴは水中深く沈下し、狂ったように乱舞する。イカナゴを補食する鯛、スズキは、このように色めきイカナゴを追い求める。イカナゴが激しく上下することにより、鯛、スズキの食いを誘発させるのである。この理を利用した一本釣りを、「あび漁」と呼んでいる。
 しかし、最近ではあび漁場に、船が多くなってきたこともあり、神経質なあびは、飛来する数が減ってきており、あび漁は衰退している。
 また、あび漁は、あびを驚かせないために手こぎの船で行わなければならず、重労働であり、後継者がいないということも衰退の原因の1つである。
 近年、豊浜に飛来するあびは、50羽ほどである。