呉市立図書館 「今月のテーマ」
「テレビ・ラジオ」を読む
放送の源になる無線通信が19世紀の終わりに登場すると,20世紀には一気にラジオとして世界中に広まります。この間,世界大戦や,日本では関東大震災があり,早い情報の必要性が高まり,人々のラジオに対する関心も高まっていきました。この時代,ラジオから発せられる音声に人々は恐れや不安,希望や楽しみなど様々な感情を抱いたことでしょう。隠れ家に潜んでいたアンネ・フランクはラジオ放送を聴いて,自分たちの解放を願っていました。また,戦後の平和な時代になると,深夜のラジオ放送に楽しみを求める人たちもいました。ラジオは新聞と異なり,情報の速さや声による臨場感のあるところが,人々の心をとらえたと言えます。まさに電波という波が人々の心を揺り動かしました。
ラジオの後に登場したテレビは,またたく間に人々に受け入れられました。ニュースはもちろんのこと,娯楽番組等を含め,映像で目にする情報はかなりのインパクトがあったに違いありません。テレビは私たちに光と影の影響をもたらしました。ドキュメンタリーやニュースなど,画面から伝わるリアリティは我が事としてとらえることができるという反面,テレビ中心となった家庭生活。あるいは日本全国一律の文化や思考になりがちといった批判的な意見もありました。
さて今の時代はどうでしょう。パソコンやスマホからも多くの情報が得られる時代です。この先も様々な情報媒体が登場するかもしれません。それらにふと疲れを感じたとき,昔からある書物を手に取ってみてはいかがでしょうか。自分のペースで読めて,想像力を駆使し,読後の余韻も味わえる多くの書物が図書館であなたを待っています。