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呉市立図書館 「読書感想文」

第10回ブックリスト読書感想文 入賞者

 呉市立図書館が作成したブックリストの推薦本を対象とした読書感想文募集に 479名の応募がありました。
たくさんの御応募ありがとうございました。
 その中から選ばれました入賞者 11名を紹介します。おめでとうございます。

  最優秀賞  広島国際学院中学校   3年  田 中  晄志朗
  優秀賞    広 中 央  中学校   2年  惣 引  睦 月
  優秀賞    白   岳       中学校   3年  西 藤  結 愛
  佳作     広       小学校   4年  田 村  恵 理
          広       小学校   4年  藤 井  咲 希
          東   畑    中学校    1年  藤 井  昊
          広   南    中学校    2年  三 谷  歩 璃 
          白   岳    中学校    2年  内 尾  心
          安   浦    中学校    2年  小 林  志 織
          川   尻    中学校    3年  山 本  ジェンナ
          安   浦    中学校    3年  塩 尻  夏 音    

  最優秀賞・優秀賞を受賞されました 3名の感想文を紹介します。

 

 

 

最優秀賞 「窓」  広島国際学院中学校 3年  田中 晄志朗

                                         

 側にいられなかった娘への贖罪だったのか。それともただ書くという行為は、母が精一杯生きるための術だったのだろうか。
 死んだと聞かされても、涙も出ないほど遠い人であった母からの突然の手紙を、窓香は困惑し、手に取ったはずだ。母がどのような気持ちで手紙を託したのかは分からない。しかし、涙にぬれているような、血の匂いのするような手紙によって、窓香は大切なことに気付かされたのだと思う。周りに合わせて生きたいという、窓香の望む「普通」なんて、小さな窓から見た景色でしかなかったということ。母は、本当は「いない人」なんかではなく、窓香の中でこれからも一緒に生きていく大切な人なのだということを。
 母は、窓香と離れ離れになったことを絶えず後悔したり、目にした残酷な現実に怒り、悲しみ、葛藤に苦しむ普通の人だ。しかし、どんな苦悩に満ちた時でも、自分の人生からは逃げようとしなかった。気づかないふりをして生きる幸せよりも、大きな窓から世界を見て、書くということで希望の景色を見つけようとした強い人だとも思った。
 僕がのんびり過ごすこの瞬間にも、どこかで死への恐怖に怯えながら生活している人がいる。空腹や些細な病で命を落とす子供たちがいる。生きるために人を殺す不条理な現実がある。正義とか平等などという名の下で行われる欺瞞がある。窓香の母が伝えようとしてくれた世界は、僕が知りようもない、知りたくもない世界もあった。
 あの人達は、あの空が最後の空になると思っていただろうか。少年兵はいつか自分を許すことができるのだろうか。自分の身体が吹き飛ばされながらも、少年は母や弟の人生について考えたのだろうか。そんな人達の絶望や悲しみを思うと、僕はどうしようもない、やるせない気持ちになる。この本を読むのが辛くもなった。だけど、知らなければならないことだとも思った。僕のこのありふれた毎日は、あの人達が望んでも手にすることができなかった静かな日々なのだと思う。そう思うと僕は、これからも沢山のことを見たり、聞いたり、経験したりしたい。自分の窓を通してでしか、この世界を見ることができないのならば、僕は、自分の窓を大きく、大きく創り上げたいと思う。できないことの言い訳をしたり、結果を勝手に予想して努力をしないで諦めるなんて、自分の人生を裏切るようなことはしたくない。僕も窓香の母のように、「ここに僕がいる」と胸を張って生きていける人になりたい。自分で作り上げ磨きぬいた窓で、この世の中の醜さも、美しさも鮮明に見つめて、自分がこれから何をするべきで、何を選択するのかをしっかりと考え、何かを変えていける人間になりたいと思う。

 

 

優秀賞 「自由への道」  広中央中学校 2年  惣引 睦月

                                                                                                  

 ぞっとした。生まれた瞬間、既に「奴隷」を宿命づけられていることに。他人によって、当然のように「自由」を奪われてしまうことに、胸が締め付けられる。
 以前、私は、白人の警察官によって黒人が撃ち殺されるという悲惨な報道を目にした。命とは、誰もが尊重されるべきものだ。にもかかわらず、なぜ安易に奪われてしまったのだろうか。なぜ黒人の命は、軽視されてしまうのだろうか。釈然としない気持ちを抱きながら、この本を手にした。そこには、白人による黒人への残酷な仕打ちの数々が記されていた。黒人に対する差別は、過去のものではなく、今尚、根深く存在する深刻な問題だ。
 この本には、奴隷制度下において、主人公のタブマンさんが、如何に奮闘し、宿命に抗いながら、自分の道を切り開いてきたのかが鮮明に描かれている。彼女は、幼少の頃より、朝から晩まで、休む間もなく働かされ、失敗すれば、鞭で血が出るほど打たれた。彼女は、それに対し、少しも疑問を抱かず、普通のことであると思い込んでいた。そんな耐え難い日々を経て、タブマンさんは、自由を勝ち取る為、ひとり立ち上がる。
 筆者の池田まき子さんは言う。タブマンさんは、歴史の中からよみがえり、時空を超えて、多くの人にメッセージを伝えてくれていると。この本を読むと、どんな不遇な状況下でも決して諦めない気持ちが大事だと思わせてくれる。神様を信じ、願いを叶えるため、あらゆる作戦を練り、実行に移していく。そんなタブマンさんの姿に、強く心を打たれた。
 池田さんは、奴隷がどのような扱いを受けてきたか想像できるでしょうかと問う。初め、奴隷とは、家政婦のように指示に従う仕事のことだと思っていた。しかし、タブマンさんの生涯を目にし、本当の「奴隷」の意味を知り、恐怖を感じた。奴隷とは、人ではなく「物」であった。
 「自由」とは何だろう。この本を読み終え、今の私が思う自由とは、人種に関わらず、皆が平等に扱われること。誰もが、自分の意見を主張し、選択することができるということ。
 そうは言っても、実際、現実社会で、誰もが自由になり得るのだろうか。日本では、表面的には、差別はあまりないように思える。しかし、私たちの身近に、他人を安易に批判したりする人もいるだろう。これもまた、差別の一端ではないだろうか。
 誰もが自由を手にすることは簡単なことではないかもしれない。しかし、それに向かって、皆が近づけるように、一人一人が強く望み行動することが大事だと思う。タブマンさんは、私達に語りかけてくれる。諦めなければ、必ず叶うと。

 

 

優秀賞 「あの子の秘密」  白岳中学校 3年  西藤 結愛

 
「誰にでも距離とって喋ってるよね。」
以前、友達にそう言われたことがある。当時そんなつもりはなく少々ショックを受けたが、確かに私は否定への恐れや気遣いのつもりで周りに合わせていたことが多かったのだと思う。だから、このお話の序盤、ひたすら道化を演じていた「明來」に共感するところがあった。皆に合わせた方が意見もまとまりやすいのに、なぜ皆が皆、そうしないのだろう、と。しかし、このお話を読み終え、その考えは大きく変化した。
 タイトルにある通り、このお話は「秘密」を題材に書かれている。明來には「触れたものの心を読むことができることを利用して、常に真意を口にしていない」という秘密があり、小夜子には「イマジナリーフレンドの存在」という秘密があった。黒猫や、優歌、美咲にも秘めた思いがあった。誰しも、本人しか知らない思いがある。その秘密を原因に、彼女達は傷つけ合っていたのだ。
 しかし、彼女らは乗り越えた。初めは各々が秘密をもち、壁を作って接していたが、自身の秘密を打ち明けたことで心を通わせることができ、より強い絆を生むことができたのだ。私はハッとした。一歩踏み出すだけで良いと気付いたのだ。自分の気持ちを伝えるのは、私にとって少し勇気がいるが、それを乗り越えるとまた違った景色が見えてくる。特に、変わった明來を見て学んだ。
 秘密とは、本人にとっての「負の個性」と言えるのではないだろうか。そして、それを相手に伝えることも、時には大切なのだろう。読み終えてからふと、私が以前、一人で悩んでいたことを友達が聞いてくれて、気が楽になった経験があったことを思い出した。
 「あの子の秘密」を読み、もう一つ学んだことがある。それは、心の支えとなってくれる存在を大事にする大切さだ。小夜子と黒猫の関係性に注目してほしい。黒猫のためならどんな行動でも起こせる小夜子。誰より大人びているようで、誰よりも子どもだった小夜子を、密かに支えていた黒猫。互いを思い、支え合う二つの存在が、とても素敵だと思ったのだ。私は家族を特に大事にしたい。私の家は母子家庭だ。母と、頼り、支え合える関係を築いていきたい。そして何より、自分を思ってくれる母を大切にしたいと思う。
 今回、このお話を読み、心を開いて友達と話す大切さや、踏み込む勇気の必要性を学んだ。支え合えることの素晴らしさも知った。以前のままではいけない。個性を相手に打ち明けることで生まれる絆もあるし、支えられることは決して弱みではないのだ。ここで学んだことを生かし、自分を支えてくれる周囲の存在を大切に、その人たちや自分の個性を肯定して、自信をもって過ごしていこうと思う。