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今回の豪雨災害による人的被害は,令和5年3月31日時点で死者が30人(うち災害関連死※1による死者5人を含む。),負傷者が22人となっている。
※災害関連死:死亡の原因について,今回の豪雨災害との間に因果関係が認められたもの。
■市全域
建物等の被害状況は,令和3年3月31日時点の罹災証明に係る現地調査結果で,建物が3,243件,土地が772件となっている。
これらの被害状況を地区別で見ると,建物被害の件数は,安浦地区(991件),次いで天応地区(598件)となっており,この2つの地区で全体の約半数を占めている。
また,土地の被害件数では,安浦地区(147件),倉橋地区(93件),中央地区(74件)の順となっている。
注1 建物被害の件数が100件以上発生した地区のみを記載している。
注2 円の大きさは,建物の被害件数に応じた大きさとしている。
◆各地区詳細
○天応地区
天応地区では,大屋大川や背戸の川の上流域で発生した多数の斜面崩壊・土石流による直接的な被害に加え,下流域では上流から流出した土砂が河道を埋塞したことにより,土砂・洪水氾濫が発生。
大量の土砂が道路や住宅地に堆積したほか,地盤の低い地区では広範囲にわたり浸水被害が生じました。
背戸の川流域
大屋大川流域
○安浦地区
安浦駅周辺地区では,中畑川,野呂川の氾濫により,約60ヘクタールに及び広い範囲が浸水。また,市原・中畑・下垣内の各地区では,山間部の至る所で土石流が発生し,集落や田畑へ大量の土砂や流木が流れ込み,集落へ至る道路も寸断。
このほか,水尻地区やその他の地区でも土石流が流入するなど,安浦地区全体で多くの建物等の被害が発生しました。
安浦駅周辺地区
市原地区
○市内各地区
天応地区,安浦地区以外においても,市内各所で発生した土石流・崖崩れなどにより,多くの箇所で建物の倒壊や宅地・農地等への土砂・流木等の流入による被害が発生。
また,長時間の降雨による建物の浸水被害も多数発生しました。
吉浦地区
中央地区
昭和地区
阿賀地区
広地区
音戸地区
蒲刈地区
(1)道路・橋梁の被害
今回の豪雨により土砂崩れや土石流等が相次ぎ,市内各所で道路が被害を受けたことで,数多くの通行不能箇所が発生。被災直後に発注した応急復旧工事の件数は市全体で約100件にも上りました。
また,橋梁についても,流木や土砂等による被害が発生し,平成28年3月に架け替えが完了したばかりの木橋「真光寺橋」を含む15橋が流失しました。
市道両谷2丁目2号線(広両谷2丁目) 市道郷原大積苗代線(郷原町)
市道見戸代17号線(下蒲刈見戸代) 市道内海南谷線(安浦町内海南2丁目)
真光寺橋(広古新開9丁目) 大広橋(広古新開8丁目)
(2)河川の被害
天応地区の大屋大川や安浦地区の野呂川,中畑川をはじめ,市内を流れる大小様々な河川において,上流部の急傾斜地などで山腹崩壊等が発生。大量の土砂や倒木などが流入したことで,河道の埋塞や浸食,護岸の決壊等が生じ,これにより周辺や下流部における浸水被害を起こしました。
辰川川(東中央4丁目) 白石川(広白石3丁目)
大積川(郷原町) 戸浜川(川尻町)
(3)農林道等の被害
土砂崩れや土石流などが多数発生した安浦地区をはじめ市内各所において,農業活動のほか生活用道路としても利用される農道や,河川やため池等から田畑に水を引くための農業用水路が被害を受けました。
また,郷原町と野呂山頂上を結ぶ林道郷原野呂山線のほか,多くの林道も被害を受けました。
農道豊島北部線(豊浜町豊島) 農道豊岡村線(豊町大長)
大地蔵水路(下蒲刈町大地蔵) 林道郷原野呂山線(郷原町)
(1)上下水道施設の被害
(1)幹線道路
本市と広島市とを結ぶ広島呉道路や東広島市とを結び山陽自動車道へ直結する東広島・呉自動車道をはじめ,本市と周辺市町とを結ぶ重要な幹線道路や市内の各地区を結ぶ国道・県道など,その多くが土石流や斜面の崩壊,倒木,冠水などによって通行不能となりました。
国道375号(上段原橋付近)
主要地方道 呉環状線(警固屋8丁目付近)(一)大崎下島循環線(大長)
(2)JR呉線
呉市と広島市を直結し,市域を東西に貫く重要な公共交通機関であるJR呉線においても,今回の豪雨により線路冠水や線路への土砂流入などが発生したため,7月6日(金)から全線運休となり,全線で運転が再開されるまでに約5か月もの期間を要しました(12月15日(土)全線運転再開)
天応駅付近 仁方駅付近
安登駅付近 安浦駅付近