地域の歴史的魅力や特色を通じて,我が国の文化・伝統を語るストーリーを「日本遺産(Japan Heritage)」として文化庁が認定するものです。
ストーリーを語る上で欠かせない魅力溢れる有形・無形の様々な文化財群を,地域が主体となって総合的に整備・活用し,国内だけでなく海外へも戦略的に発信していくことにより,地域の活性化を図ることを目的としています。
明治期の日本は,近代国家として西欧列強に渡り合うための海防力を備える必要があったため,国家プロジェクトにより天然の良港4か所に軍港を築き,鎮守府を置きました。
静かな農漁村に人と先端技術が集まり,海軍諸機関と共に水道,鉄道などのインフラが急速に整備され,軍港都市が誕生し,近代技術が育まれました。
日本の近代化を推し進めた四市には,海軍由来の食文化もまちに浸透し,多種多様な数多くの近代遺産とともに,躍動した往時の姿を体感できます。
日本海や瀬戸内海沿岸には,山を風景の一部に取り込む港町が点々と見られます。そこには,港に通じる小路が随所に走り,通りには広大な商家や豪壮な船主屋敷が建っています。
また社寺には奉納された船の絵馬や模型が残り,京など遠方に起源がある祭礼が行われ,節回しの似た民謡が唄われています。
これらの港町は,荒波を越え,動く総合商社として巨万の富を生み,各地に反映をもたらした北前船の寄港地・船主集落で,時を重ねて彩られた異空間として今も人々を惹きつけてやみません。