平成28年9月5日、6日に行われた市政に対する市議会議員の質問と、市当局の答弁を一部紹介します。
質問の項目については、各々の質問者に選んでいただきました。
この欄は、市政だより平成28年12月号にも掲載されました。
避難所は災害時における地域のとりでであり、安全であることはもちろん、避難者の不安を取り除く空間でなければなりません。学校施設が避難所に指定されていることが多いため、耐震性はおおむねクリアしていると思いますが、安心できる避難所の維持確保のためには、バリアフリーの確保や避難所周辺の安全確保、夜間における避難所、避難路の明示といったハード面に加えて、避難者の誘導や災害情報の提供、通信手段の確保、プライバシーの配慮といったソフト面も不可欠であると思います。そこで、避難所の実情と今後の対応について伺います。
呉市では、小中学校やまちづくりセンターに加えて、自治会館や集会所などを避難所として指定しています。これらの施設はもともと避難所として整備されたものではないため、ハード面では課題のある施設もあります。このため、市としては、市民の皆様がそれぞれの災害種別に対応した適切な避難所に避難をしていただくよう広報周知していくことが大切であると考え、現在全ての避難所に、絵文字と五カ国語表記を使った一目でわかる避難所看板を設置する作業を進めています。また、主要な避難所に災害時でもつながりやすい特設公衆電話回線を整備するとともに、ある程度プライベート空間が確保できるよう仕切りが可能な段ボールベッドを購入するなど、避難所での生活改善策にも取り組んでいます。今後も、各施設の管理者や地域の協力も得ながら安心できる避難所の維持確保に努めていきたいと考えています。
今年6月、市長はインバウンドの推進のために、台湾を訪問されたとのことですが、その際に感じた率直な思いや今後の取り組み方針を伺います。
今回の台湾訪問の目的は、呉市と台湾北部の基隆市の民間団体が長年にわたり親交を続けている縁から招待された同市の慶祝行事への出席、台北市で行われた観光展の視察及び同市幹部との面談などを通して、インバウンドの可能性を探ることでした。
台湾に対する印象としては、総じて親日的で、日本文化も社会にかなり浸透しており、若い世代も含めてインバウンドの可能性は非常に高いと感じました。
また、基隆市の地勢や歴史は呉市と非常に似ており、大変親近感を覚えました。同市の市長とは、文化、経済等さまざまな面での交流を通して、友好のきずなを深めたいと意見交換しました。また、同市の市長からは、姉妹都市提携を行いたいとの話もありました。今後は、芽吹き始めた基隆市との交流の機会を生かすとともに、台湾インバウンドに積極的に取り組むことにより、交流人口の拡大と地域経済の活性化を図っていきたいと考えています。
市では、くれ産業振興センターや融資制度等により中小企業支援を行っています。こうした中、地域ぐるみで中小企業振興を進めるために、中小企業振興条例の制定が重要であると考えますが、市の考え方を伺います。
中小企業が必要とする支援のあり方など市として明確な方向性を示すため、条例制定も視野に入れ、より実効性のある振興策を検討し、中小企業が一段と元気に活躍できるまちを目指していきたいと考えています。
都市構造の変化が進み、市民生活が大きく変わってきています。それに伴い、行政サービスも変化しなければなりません。今後、呉市において、人口減少、少子高齢化がさらに進展すると見込まれている中、将来にわたって安心して暮らせるまちづくりを行うことが次世代に対する私たちの責任です。
今後、どのような対応をしようとしているのか、市の考えを伺います。
呉市の人口減少は、高齢化による自然減や若い人たちの進学、就職による社会減が大きな要因です。特に、若年層は呉市の産業や消費、地域づくりを支える重要な存在であり、若年層の減少に歯止めをかけ、新たな活力を創造することが呉市の地方創生を進める重要な課題です。そのため、働きやすさや子どもの育てやすさ、暮らしやすさの向上を基本目標に据えて、若者が集い、にぎわうまちづくりを行っていきたいと考えています。
抱えている市債等は、将来世代に十分に説明していかなければなりません。国においては国民1人当たりの借金が830万円と聞いていますが、国、県、市の借金を合わせると、現在、呉市民は1人当たり幾らの借金になっているのか伺います。
現在、市債残高は平成27年度末で市民1人当たり、一般会計57万7千円、特別会計13万4千円、企業会計28万円の合計99万1、000円です。また、県債残高は平成26年度末の普通会計ベースで75万1、000円であり、国・県・市を合計すると、市民1人当たりの残高は約1、000万円となります。
全ての団塊の世代が75歳を迎える2025年には、介護職員の確保が要介護者の急増に追いつかず、30万人以上が不足すると言われています。
そこで、国は、一定の条件の下、外国人介護士による訪問介護を認めることを決めていますが、今後、呉市の施設で外国人介護士を受け入れていく考えがあるのかどうか、市の考えを伺います。
外国人介護士の受け入れには、言葉や介護の質の問題や、中長期的な人材確保が困難などといった課題が多いと聞いています。そのため、社会福祉協議会の人材バンクなどを通じ、福祉人材の確保に努めています。また、市内での福祉人材の確保や若者の地元定着を目指し、現在、市内の福祉系大学や社会福祉法人などと奨学金制度の創設を協議しています。
2025年には、在宅医療で療養する高齢者が全国的に30万人ふえると予想されています。医療機関だけでは、高齢患者の受け入れに限界があるため、訪問介護サービスの充実や潜在看護師の発掘など、医師会と連携した在宅医療の体制整備は喫緊の課題だと思いますが、市の考えを伺います。
現在、公立下蒲刈病院を中心に医師会や介護保険施設など、多職種が連携し、地域課題の掘り起こしなどを行っています。さらに広島大学や広島文化学園大学とも連携するなど、在宅医療、在宅療養を維持するための体制整備に取り組んでいます。
今後はこのような取り組みを全市に展開し、誰もが住みなれた地域で安心して暮らし続けることができるよう、多角的に事業を進めていきたいと考えています。
人口減少、少子高齢化が進行する中で、地域での日常生活の課題は今後ますますふえていくことが見込まれます。市民協働のさらなる発展を考えたとき、まちづくり活動の核となる人材を発掘し、育てることが必要だと思いますが、市の考えを伺います。
現在、情熱を持ってまちづくり活動を行っている人をまちづくりサポーターとして委嘱し、活動を支援しています。さらに、地域活動をしている人のスキルアップを支援するとともに、地域活動に参加していない人には、地域活動を行うためのヒントをつかんでもらえるような講座を開いています。また、島しょ部などの地域では、地域おこし協力隊という外部の力も借りながら地域協働によるまちづくりを推進しているところです。
今後は、子ども世代も含めた新たな人材の発掘、後継者の育成の支援を充実させたいと考えています。
人口減少、少子高齢化社会では、都市がつながって課題解決に取り組むことが大切だと思います。旧軍港市(呉、佐世保、舞鶴、横須賀)で日本遺産の認定を受けましたが、今後、4市の活性化に向けてどのようなビジョンを描いているのか、市の考えを伺います。
日本遺産の認定は、4市の歴史や文化が全国的にみても特徴的で希少なものだということを意味しています。日本遺産認定を好機と捉えしっかりと連携しながら日本遺産ブランドを構築し、4市にしかないまちの魅力を国内外に積極的に情報発信し、にぎわいのあるまちづくりを目指していくとともに、新たな都市間連携モデルの推進に努めていきたいと考えています。