平成27年9月7日,8日に行われた市政に対する市議会議員の質問と,市当局の答弁を一部紹介します。
質問の項目については,各々の質問者に選んでいただきました。
この欄は,市政だより平成27年12月号にも掲載されました。
自治会加入率の低下は,市民協働のまちづくりの一翼を担う地域力の低下につながってきます。本市では,自治会をはじめとする地縁団体の存在は大きく,今まで培ってきた財産として存続させていく必要があると思います。
そこで,自治会加入率向上について,市はどのように認識しているのか。また,これまで行ってきた施策と成果について伺います。
自治会加入率の向上は,重要な課題であると受けとめています。この課題への取り組みとして,昨年7月から,市と自治会連合会が共同作成した自治会加入促進チラシを,市民窓口課や市民センターで転入届などを提出された人へ配布を始めています。このチラシは,安全・安心で快適な市民生活を支えている自治会活動の様子や,地域行事を通じて近所同士の親睦を深めていることなど,自治会の果たす役割を紹介した内容となっており,これを加入促進に活用した結果,新たな加入者があった自治会もあると聞いています。
また,広報・啓発だけでなく,今年度から計画している企業退職者など地域活動初心者を対象とした地域デビュー応援講座の開催などを通じて,まちづくり活動の魅力を伝え,まちづくりや自治会活動への参画のきっかけをつくっていくことも重要だと考えています。
今後も地域活動を担う人材発掘や育成など自治会組織の強化に努めるとともに,自治会と連携しながら自治会加入率向上に取り組んでいきます。
公的サービスと地域ボランティアの活動だけでは補いきれない介護支援の施策として,高齢者に日常生活のさまざまな支援に利用できるクーポンを発行するなど,気兼ねなく生活支援を依頼できる仕組みが必要と考えています。これは,名簿に登録された支援者が,少額の報酬,もしくはボランティアポイントを得ることができるようにするものです。
元気な高齢者がこの生活支援の担い手として活躍し,社会的役割を持つことができれば,生きがいや介護予防につながると思いますが,市の考えを伺います。
高齢者の日常生活を支える支援は,ボランティア,NPO法人,民間企業など多様な団体による提供とともに,それぞれの役割分担も必要となってきます。本市では,現在さまざまな形でのボランティア活動が行われていますが,今後は,地域の実情や高齢化などにより担い手不足も懸念されているところです。
そのため,老人クラブ連合会やシルバー人材センターなどとも連携・協力し,高齢者などの生活支援ニーズや社会参加を融合させるとともに,報酬を得て,さらなる生きがい活動につながる「生きがい就労」の取り組みを介護予防・日常生活支援総合事業に位置づけて,推進していきたいと考えています。
公金のコンビニ納付は,全国に普及しはじめた行政サービスの一つであり,すでにコンビニは日常生活に欠かせない社会基盤として考えられます。
そこで,市はコンビニをどのように認識しているのか伺います。
現在のコンビニは,食料品をはじめとした生活必需品の販売のほか,公共料金の支払いもできるようになっています。
また,24時間営業であることにより深夜における防犯の役割も果たしています。
さらに,東日本大震災では,災害後の仮設店舗の出店や移動販売車による生活必需品の販売など,災害復興の一翼を担っていることから,コンビニは日常生活の社会基盤になりつつあると考えています。
全国でコンビニ納付の導入が拡大している中,本市も早急に導入しなければならないと思いますが,市の考えを伺います。
コンビニ納付は市民の利便性が大きく向上するものと強く認識していますが,電算システムの改修や納付書の変更,コンビニへの手数料など多額の費用がかかる一方,導入市では収納率の向上には直接結びついていないため,本市ではこれまで,費用対効果の観点から導入を見送り,経費が最小限に抑えられる口座振替の普及促進を図ってきました。
しかし,現在,導入をめぐる諸条件や環境は,徐々にではありますが変わっていますので,社会経済情勢の変化を踏まえ,市民の利便性の向上という観点を再認識する中で改めてコンビニ納付の導入について検討していきたいと考えています。
今年度の機構改革で,危機管理室が消防局から市長部局に移管されました。
災害における危機管理体制は,市民の生命,身体及び財産を守るため,非常に重要なものだと思いますが,新しい組織になって5カ月が経過し,移管前と移管後で危機管理体制にどのような変化や効果があったのか伺います。
また,最新の防災機能を持つ新庁舎が完成した後,どのような危機管理体制になるのか伺います。
災害における危機管理体制は,大規模災害などに対して迅速な対応が図れ,災害監視体制から災害対策本部体制までを総合的に一元管理できるようにするため,市長部局が対応する体制にしました。
新体制となり,幸いにも大きな災害は起こっていませんが,直近の台風の接近に伴う災害体制の整備,被害状況や交通規制の情報収集などの災害対応を市長部局が担ったことにより,消防局は現場での災害対応に集中できるようになりました。
また,新庁舎完成後の危機管理体制は,新庁舎に専用の防災会議室を設けることにあわせ,本年度,被災状況や災害対応状況,避難所情報などを一元管理する防災情報システムを整備し,市民センターなどで情報共有できる仕組みづくりを行っています。
新庁舎においてはハード面,ソフト面とも現状よりも飛躍的に機能が向上するため,新しい施設や設備,システムなどが適切に運用できるよう,平常時に訓練などを実施することで,より迅速かつ的確な災害対応に努めていきたいと考えています。
国は今年度を地方創生元年と位置づけ,地方の自主性,主体性の確保を地方みずからが行えるよう支援促進を図っています。
そこで,将来を見据えた地方創生を実現するため,さまざまな課題分析や具体策を検討し,実効性のある総合戦略を策定すべきと考えます。
呉市を取り巻く社会情勢や経済情勢が刻々と変化している状況を踏まえ,市はどのような理念を持ち,呉市ならではの地方創生への道筋を描こうとしているのか,考えを伺います。
現在,市は地方創生の実現に向け,二つのキーワードを念頭に置き,戦略づくりを進めているところです。
1点目は「若者」です。若年層は産業や消費,地域づくりを支える重要な存在です。若年層の人口減少に歯どめをかけ,新たな活力を創造することが,地域創生を進める上で大変重要な課題だと認識しています。
2点目は「呉らしさ」です。呉市はものづくりのまちであると同時に,小中一貫教育や地域協働の推進,大和ミュージアムをはじめとする観光資源など,多くの特色を有するまちです。こうした特色を最大限に生かした施策を積極的に取り組む必要があると考えています。
また,地方創生は,地域をはじめ,大学や企業,金融機関などと連携しながら取り組みを進めることが不可欠です。
このような取り組みが,将来にわたる呉市の活力,にぎわいをもたらす原動力となるよう,市を挙げて取り組んでいきたいと考えています。