平成23年10月1日から、「生食用食肉(牛肉)の規格基準」が施行されました。
平成23年4月に飲食チェーン店で発生した腸管出血性大腸菌による食中毒事件等を受け、食品衛生法13条第1項の規定に基づき、食品、添加物等の規格基準の一部が改正され、生食用食肉(牛肉)の規格基準が設定されました。
食肉関係事業者(飲食店営業、食肉販売業、食肉処理業)の皆さまへ
平成23年10月1日から、規格基準の要件に適合しない生食用食肉(牛肉)の取扱いが禁止されました。これに違反した場合には、食品衛生法違反として行政処分の対象となります。
生食用食肉(牛肉)の規格基準及び表示基準の概要
対象食品
生食用食肉として販売される牛の食肉(内臓を除く) 例:いわゆるユッケ、タルタルステーキ、牛刺し、牛たたき など
※平成24年7月から牛の肝臓(レバー)を生食用として販売・提供することはできません。
対象となる施設
生食用食肉(牛肉)の加工、保存または調理を行うすべての施設
成分規格
- 腸内細菌科菌群※が陰性であること ※大腸菌、サルモネラ菌、赤痢菌など
- 1.に係る検査記録を1年間保存すること
加工基準
- 施設・器具等について
専用の施設・器具を使用すること
器具は不浸透性の材質であること
肉塊を加工するごとに83℃以上の温湯で消毒すること
- 加工する者について
腸管出血性大腸菌等のリスク等について知識のある者(認定生食用食肉取扱者養成講習会を受講した者等)
もしくはその者の監督の下で加工すること
- 肉塊の取扱いについて
10℃を超えることのないようにすること
筋、線維を切断する、調味液に浸潤させる、結着させ成形する等の処理は行わないこと
- 肉塊の処理について
枝肉から切り出した後、早くに気密性のある清潔で衛生的な容器包装に入れ密封すること
肉塊の表面から深さ1cm以上の部分までを60℃2分間以上加熱殺菌をすること(記録を1年間保存すること)
加熱殺菌後、早くに4℃以下に冷却すること
保存基準
冷蔵品は4℃以下、冷凍品は-15℃以下で保存すること
調理基準
- 施設・器具等について
専用の施設・器具を使用すること
器具は不浸透性の材質であること
肉塊を加工するごとに83℃以上の温湯で消毒すること
- 加工する者について
腸管出血性大腸菌等のリスク等について知識のある者(認定生食用食肉取扱者養成講習会を受講した者等)
※調理のみを行う施設の食品衛生責任者は、認定生食用食肉取扱者養成講習会の受講は不要
もしくはその者監督の下で加工すること
- 肉塊の取扱いについて
10℃を超えることのないようにすること
筋、線維を切断する、調味液に浸潤させる、結着させ成形する等の処理は行わないこと
- 加工基準4.の処理済みのものを使用すること
- 調理後早くに提供すること
表示基準
- 容器包装に入れて販売する場合、一般的な食品表示のほか、次の表示が必要です。
生食用である旨
と畜場名及び所在地(都道府県名、輸入品にあっては原産国名)
加工施設名及び所在地(都道府県名、輸入品にあっては原産国名)
一般的に食肉の生食は食中毒のリスクがある旨
子供、高齢者その他食中毒に対する抵抗力の弱い人は食肉の生食を控えるべき旨
- 飲食店や精肉店等で、容器包装に入れずに提供・販売する場合は、次の表示をメニューや店舗の見やすい箇所に掲示する必要があります。
一般的に食肉の生食は食中毒のリスクがある旨
子供、高齢者その他食中毒に対する抵抗力の弱い人は食肉の生食を控えるべき旨
施行・適用期日
平成23年10月1日から施行されました。 10月1日以前に加工された生食用食肉(牛肉)も含め、規格基準及び表示基準に適合しない食肉を生食用食肉として加工・調理・販売することはできません。
牛肉以外の生食用食肉について
今回の規格基準の対象は牛の食肉に限られます。
生食用馬肉については、従前に引き続き、「生食用食肉等の安全性確保について」(平成10年9月11日生衛発第1358号)に基づく衛生管理が必要となります。 それ以外の食肉(鶏肉等)については、たとえ新鮮なものであっても食中毒の危険性があるため、生食用としての提供は避けましょう。
消費者の皆さまへ
腸管出血性大腸菌やサルモネラ属菌等の一部の食中毒菌は、家畜の腸内に存在することから、生食用食肉の加工・調理において、これらの微生物を完全に除去することは困難です。
このため、規格基準に適合した生食用食肉(牛肉)であっても、子どもや高齢者などの抵抗力の弱い方は、生肉を食べないよう、また、食べさせないよう十分な注意が必要です。
また、平成24年7月から牛の肝臓(レバー)を生食用として食べることはできません。