呉市では,市民の利便性の向上と市役所の業務の効率化を図ることを目的に、業務プロセスを可視化して非効率な部分を洗い出し,具体的な業務プロセスの見直しを行うBPR(業務改革)※1に取り組んでいます。
※1 BPR:Business Process Re-engineering(業務改革)の略。業務のプロセス全体について,詳細に分析・評価・改善を行うことを通じて,利便性向上と抜本的な業務効率化の双方を実現する手法
BPR(業務改革)の実施プロセス

(1) 現行の庁内業務調査
- 各課等の現行業務を性質別(定型/非定型※2,コア/ノンコア※3,処理時間,処理件数,アウトソーシング・デジタル技術活用可能性等)に分類し,各業務が抱える課題の把握と具体的な見直しのための基礎データを作成
- 基礎データを基に,伴走型支援事業者や行政改革デジタル推進第1課・第2課が担当課にヒアリングを行い,業務の今後の方向性(改善可能性,廃止,休止等)に向けた協議を行うとともに,見直し対象業務を抽出
(2) 現行業務フローの作成・見直し(改善手法の検討)
- 見直し対象とした業務について,各課へ業務内容のヒアリングを実施し,現行の業務プロセスをフロー図として可視化
- 作成した現行の業務フローを基に,具体的な改善手法を伴走型支援事業者,行政改革デジタル推進第1課・第2課と各課とで協議の上決定し,見直し後の業務フローを作成
(3) 見直し(改善)の実施
- デジタル技術の活用(ローコードツール※4,RPA※5,AI-OCR※6等),アウトソーシングの導入等
- 帳票の統一化,標準化等
(4) モニタリング・次期行政改革実施計画への反映
- 見直しを実施した業務について,モニタリングにより改善効果(例:市民サービスの向上,業務時間の短縮,ペーパーレス化,オンライン手続件数等)を検証し,好事例の取組については,庁内の横展開等を検討・実施
- 取組の成果や課題,今後の取組内容等を反映した次期行政改革実施計画(計画期間:令和10年度~14年度)を策定し,更なるBPRを推進
※2 定型/非定型:手順やルールが決まっている工程を「定型」,状況に応じた判断・対応が求められる工程を「非定型」と定義
※3 コア/ノンコア:職員の判断が必要な業務(例:施策立案,条例制定,予算編成・執行等)を「コア」,職員の判断が不要な業務(例:データ入力,資料作成補助,受付・案内補助等)を「ノンコア」と定義
※4 ローコードツール:プログラムコードをほとんど記述することなく,アプリケーションやシステムの開発を可能にするツール
※5 RPA: Robotic Process Automationの略。人が行う定型的なパソコン操作をソフトウェアのロボットが代替して自動化する技術
※6 AI-OCR:Artificial Intelligence Optical Character Readerの略。AI(人工知能)技術を用いて,スキャンした文書からテキストを自動で認識・抽出する技術
令和6年度の主な取組状況等について
現行の庁内業務調査の概要
調査目的 |
各業務が抱える課題の把握と具体的な見直しのための基礎データの作成 |
調査内容 |
各業務の業務量,業務構造,業務の特性(業務の標準化の度合い)等 |
調査期間 |
令和6年5月16日~同年7月16日 |
対象課室 |
市長事務部局,行政委員会等,消防局及び上下水道局の各課・室(全庁的に実施) |
調査結果の概要
現行の庁内業務調査では,全4,108業務の調査・分析を行い,各業務が抱える課題の把握と,具体的な見直しのための基礎データの作成を実施しました。各業務における課題の検討状況として,「現行のやり方で問題がない」との回答が77.1パーセントと高い一方,「課題の改善に取り組めていない」,「過去改善がうまくいかなかった」業務が合計で15.9パーセントあり,見直しの実施に難しさを感じている業務があるという現状が明らかになりました。
見直し対象業務の選定
庁内業務調査の結果等からヒアリング対象として190業務を選定し,担当課へのヒアリングを実施した結果,庁内への横展開が見込める共通的な業務や担当課の課題認識が高い業務などの観点から,令和6~7年度に優先的にBPRに取り組む見直し対象業務として42業務を選定しました。なお,選定した見直し対象業務のうち,改善に向けた実現性の高い10業務について,令和6年度からBPRに着手しています。
現行業務フローの作成・見直し(改善手法の検討)
令和6年度にBPRに取り組む10業務について,担当課へ業務内容や課題についてヒアリングを行い,現在,現行の業務フローの作成及び見直し後の業務フローの検討を行っています。見直し後の業務フローの作成を実施する際には,現行の業務フローを基に担当課との協議等を行い,各業務が抱える課題や問題点などの本質を更に深掘りしています。
また,改善策を検討する際には,単にデジタルツールを取り入れるのではなく,各業務において,非効率な作業,事務処理ミスの原因となりうるプロセスなどを抜本的に見直し,事務の最適化を図ることで,より質の高い市民サービスを提供することを念頭に置いて取組を進めています。
今後の取組予定
令和6年度にBPRに取り組んでいる10業務については,令和7年度の当初に具体的な改善策に着手するとともに,見直し後の改善効果を検証するためのモニタリングを行います。また令和7年度にBPRに取り組む32業務についても,順次,担当課へのヒアリング,業務見直しを行い,改善策の具体化に取り組みます。