現在,呉港には一般荷主が利用可能な定期貨物航路はなく,海路による小口荷主(中小企業)の貨物が十分に取り扱えていない状況にあります。一般的に,輸送距離が500km離れていると,陸上輸送料金よりも海上輸送料金の方が安価になると言われています。また今後直面する「物流の2024年問題」に対しても,呉港の内貿航路の誘致は非常に有用な事業であると考えています。
加えて,広島県内にはRORO船の定期航路がないこと(PCC船は除く),近隣では岩国港・宇野港に寄港しているため中間地点に位置していることから,呉港へのRORO定期航路の誘致は高い需要が想定されています。
呉港への新たな海上物流網を構築することにより,呉市内企業の留置及び呉市外企業の誘致,中小企業を含めた幅広い荷主企業への安価で効率的な輸送体系を提供することができます。
※)RORO船とは,ロール・オン,ロール・オフ船の略称で,ロールとは主に車両を示しています。船尾及び船首に車両が乗降可能なランプウェイを持ち,車両(トレーラー)を用いて貨物の搬出入を行います。搬出入を行うトレーラーは,トレーラーの前部(ヘッド)と切り離し可能なシャーシ部分に分かれており,搬入は連結されたシャーシ部分を船内で切り離し固定し,搬出はヘッドをシャーシと連結して下船します。海送の部分はトラックドライバーが不要となります。また,一般貨物船に比べ,荷役にクレーン等の設備が不要であることや荷役時間が短い等の利点があります。
※)「物流の2024年問題」とは,2019年4月から働き方改革関連法の施行により,時間外労働時間は年960時間が上限となりました。物流・運送業界(自動車運転業務)には,5年間の猶予期間が設けられておりましたが,2024年4月から規制が適用されます。
これにより,運送企業の収益減少,トラックドライバーの収入減少,トラックドライバーの労働力不足,荷主の物流コストの上昇が心配されていることです。
これらの解決策の一つが,海上輸送への転換(モーダルシフト)となります。
※)「呉港定期航路誘致検討協議会」の実施については,別ページ参照
【呉港港湾計画図広港区(抜粋)】
現在,RORO船が寄港する近隣港は,岡山県宇野港,山口県岩国港とあり,呉港は丁度中間地点に位置しているため,周辺から貨物の集荷が見込まれています。
特に,東広島呉自動車道が整備されたことにより,背後圏へのアクセス環境が整っている,阿賀マリノポリス地区への寄港が適していると考え,これまで調整を進めてきました。(阿賀マリノポリス地区については別ページ参照)
また,参考図のとおり,呉港広港区は既存の瀬戸内海主要航路から距離が近いことから,船社側の燃料費等の支出を抑えることができます。
令和4年度 港湾計画(一部)変更に向けた資料作成及び航行安全検討,貨物量調査
令和5年度 港湾計画(一部)変更の完了,国土交通大臣等へ新規事業化による整備と予算確保の要望を実施
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