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平成29年度 民生委員会行政視察報告

期日

平成29年10月11日(水曜日)~13日(金曜日)

視察委員

藤原広(委員長),田中みわ子(副委員長),山上文恵,林敏夫,池庄司孝臣,岡崎源太朗,石崎元成,渡辺一照

視察都市

月   日視 察 先調 査 事 項
 
10月11日(水曜日)兵庫県加古川市

食品ロスについて

10月12日(木曜日)長野県松本市
10月13日(金曜日)愛知県名古屋市

視察目的

 当委員会では,「食品ロスについて」を所管事務調査項目とし,調査研究を行っている。
 呉市では,小中学校の児童生徒を対象としたエコクッキングの出前講座や,平成29年度から開始した事業者向けの食べきり協力店の募集などの施策を行ってきたが,言葉の意味も含め,市民や事業者に十分認識されていない。
 呉市が行っている啓発活動等の取り組みのさらなる普及及び食品ロス削減に向けた新たな普及啓発事業の検討が必要である。 

兵庫県加古川市

(1)調査内容

 加古川市では,平成25年度から平成33年度までに燃えるごみを20%減量化する取り組みを行っており,燃えるごみの中に多くの食品ロスが含まれていることから,食品ロス削減に向けた取り組みを行っている。
 加古川市おいしい食べきり運動協力店制度については,先進市を参考にしながら,平成28年12月より協力店の募集を開始した。加古川市では,募集対象に小売店も含まれ,登録した飲食店では,小盛りメニューの設定や食べ残した料理の持ち帰りへの対応,小売店では食料品のはかり売りやばら売りの実施などを行っており,協力店舗と協働で食品ロス削減の啓発を行っている。事業開始当初,市内の 184店舗に協力を依頼し,平成28年度末で38件が登録,平成29年度には依頼店舗を 943件に拡大し,9月末現在で飲食店70件,小売店24件の計94件が登録されている。協力店は,加古川市のホームページで店舗PRを載せた紹介がされるほか,店の外に立てるのぼり,ステッカー,卓上ポップ,小型の卓上のぼりが配付され,客から一目でわかるようになっている。しかし,登録店へのメリットは,これだけにとどまっており,メリットをより明確にし,登録店の今後の展開や登録店舗の増加に向けた取り組みが必要となっている。また,各店の取り組み状況の把握や登録後のフォローの方法などを考えていかなければならない。
 啓発活動については,市民向けの広告を作成して地域での回覧や,小学4年生が授業で使用する冊子を作成しているほか,市民からごみ減量アイディア募集を行い,冷蔵庫の中の食材や保存食の在庫をチェックする冷蔵庫の中身チェック表を作成した。また,平成29年度には,各家庭から出る食品ロスがどのようなものか組成調査を行い,実際にごみ袋をあけて中身を確認し,丸ごと入っている野菜など,本来食べることができるものだけをまとめた写真を撮り,出前講座などで市民に状況を知ってもらう啓発活動を行っている。

(2)質疑応答

 食べきり協力店へのメリットに関する課題,食品ロス削減の取り組みによるごみ減量の実績,組成調査の抽出方法,調査方法,経費,期間などについて質疑が行われた。

(3)呉市での展開の可能性

 協力店制度については,呉市でも同様に平成29年7月から開始しているが,協力店はステッカーの配付と呉市のホームページに掲載されるのみである。加古川市で作成しているのぼり,ステッカー,卓上ポップ,小型の卓上のぼりについては,一目で協力店ということが確認でき啓発につながるとともに,店と客の両者にとっても取り組みやすい空間をつくることができるため参考にすべきと考える。また,呉市では当面,協力店をふやすことを目標としているが,加古川市が課題に挙げたように,協力店へのメリットを明確にし,各店の取り組み状況の把握やその後のフォロー方法などを考えていく必要がある。
 啓発活動について,市民からのアイディア募集は,市民が食品ロスと向き合うよい機会であり,市民啓発に有効な手段と考えられるため,このような取り組みは参考にすべきと考える。

長野県松本市

(1)調査内容

 松本市では,市長の呼びかけや平成22年度からごみの減量化施策を実施していたことをきっかけに,平成23年5月から30・10運動を開始し,市長もみずから実践して啓発している。実施に当たり,協力店にはポスターやティッシュなどの啓発品を置いてもらうよう依頼しているほか,持ち帰りができる店には,市から透明パックを初めの1回のみ配付している。平成28年7月からは,さらに推進を図るため,残さず食べよう推進店,事業所認定制度を開始し,飲食店と利用客となる事業所を認定しており,飲食店については30・10運動を行い,事業所については30・10運動の実践や啓発等を二つ以上取り組むと認定となり,看板やミニのぼり旗を配付している。平成29年9月末現在,飲食店が 110件,事業所が60件の合計 170件となっている。また,平成29年度からは,飲食店が安心して持ち帰りを推進できるように,持ち帰り希望カードを作成し,店には迷惑をかけないという内容に署名した上で持ち帰るようにし,持ち帰る際には注意事項シールを張る取り組みをしている。
 平成24年度から開始した園児対象の環境教育については,「参加型・とにかく楽しく」をキーワードにリサイクルなどから園児に伝えている。環境教育後に行った意識調査では,子供に変化があったという回答が約50%あり,そのうち,5割を超える園児が残さず食べるようになった,家族の食べ残しを注意するようになったと回答があったほか,児童の保護者にも意識及び行動の変化が見られたという回答も4割あった。
 また,園児の意識を継続させる取り組みとして,保育士の協力でプロジェクトチームをつくり,消費者庁の補助金を利用して啓発紙芝居を作成した。なお,啓発紙芝居は,消費者教育教材資料表彰2017の優秀賞を受賞している。
 松本市では,これらの事業の評価や検証を行うため,生ごみの組成調査と一般家庭意識調査を3年に1回行うこととし,平成25年と平成28年に実施している。平成25年度の調査結果から,冷蔵庫の中の整理や,食材を丸ごと使って家族で楽しく料理をすることが大切ということになり,平成26年度から,毎月10日と30日は家庭で食品ロス削減に取り組む家庭版30・10運動が開始された。なお,平成29年4月には家庭版30・10運動の応援ソングを市の職員たちで作成している。
 そのほか,松本大学と連携したもったいないクッキングレシピの開発,地元NPOと協力した月1回のフードバンクなどを行っている。
 先進的に食品ロス削減に取り組んではいるが,平成28年度の組成調査では,平成25年度の調査と比較し,食品ロス全体が11.6%減少したのに対し,手つかず食品の割合がふえている。また,意識調査では,食品ロスの認知度は報道などの影響で上がっているが,30・10運動については,まだ約半数の方が知らないと回答しているため,啓発活動をより行っていく必要があると考えている。

(2)質疑応答

 コースター,ティッシュ,持ち帰り希望カード,注意事項シール等のグッズに係る予算・経費,組成調査に係る経費,市民の協力体制,回収方法,個人情報の問題などについて質疑が行われた。

(3)呉市での展開の可能性

 呉市では,30・10運動を市政だより等で広報しているが,余り周知されていないため,比較的安価で作成できるポスターやティッシュなどの啓発品は参考にすべきと考える。また,呉市でも徐々に持ち帰りを許可する飲食店はふえているが,飲食店が安心して持ち帰りを案内できるように持ち帰り希望カード,注意事項シールを作成する取り組みについても参考にすべきと考える。
 園児対象の環境教育については,感受性豊かな時期の子供たちにもったいない精神を育むだけでなく,保護者に対しても意識及び行動の変化を与え,さらに子供たちが大人になって子,孫へと継承される未来ある取り組みであるため,導入に向けた検討をすべき事業であると考える。
 事業の評価や検証を行う定期的な組成調査等は,呉市でも導入が必要と考えるが,松本市では,1回の経費が 400万円近くかかることから,導入に当たり調査の規模や方法を検討する必要がある。

愛知県名古屋市

(1)調査内容

 名古屋市では,平成28年度,食品ロス削減を取り組むに当たり,市民巻き込み型をとりながら共同で行うとし,有識者や市民団体と懇談会を立ち上げ,平成29年度からは予算を組み,懇談会を部会に発展させて活動している。懇談会では,本格的な取り組みの前にアンケート調査が必要と提案され,関係店 2,000店のアンケート調査を行った。さらに,アンケート結果をもとに,協力店制度に盛り込む小盛りメニュー,適量注文の案内などの六つの項目を選定している。
 また,従来から,NPOが食品メーカーやスーパーマーケットから出た規格外品等を,地域の団体に渡すという活動を行っていたが,生活困窮者への個人支援も開始することになったため,平成28年9月からフードドライブによる協力を開始した。回収は,名古屋市の環境教育施設を拠点とし,現在,毎月8日から14日まで食品回収を行い,また,拠点回収以外にも各種イベント時にフードドライブを開催している。回収した食品は,NPOを通じて生活困窮者に届けている。平成28年度の回収量は,9月から開始して 460キログラム,平成29年度は9月末までで 490キログラム回収した。開始して間もないため,今後は市民に周知し,より利便性の高い形にしていくことが検討課題となっている。
 啓発活動については,平成28年度,忘年会シーズンなどに30・10運動の啓発ティッシュを,週末金曜日などに職員が時間外で 3,700個配布した。この活動は,マスコミにも取り上げてもらい,見ていた方が多く効果があった。また,子供に対する啓発として,30・10運動のポスターを募集し,優秀作品をポスターやポケットティッシュの表紙にしている。

(2)質疑応答

 フードドライブによる一般家庭からの回収量,子供に対する啓発の実施状況,実績,啓発活動の予算やその内訳などについて質疑が行われた。

(3)呉市での展開の可能性

 食品ロス削減を行うに当たり,懇談会や部会までなくとも,有識者や市民団体との意見交換を行い,市民を巻き込んだ事業展開を行うことは,幅広い意見で事業を提案することができるため参考にすべきと考える。
 フードドライブにおいては,現在,呉市にフードバンク等を行っているNPO等はないが,食品ロス削減に限らず,生活困窮者対策や子供の貧困対策にも有効な事業であると考えられるため,環境部,福祉保健部及び民間団体等と連携し,導入に向けた検討をすべき事業であると考える。