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平成29年度 文教企業委員会行政視察報告

期日

平成29年10月10日(火曜日)~12日(木曜日)

視察委員

梶山治孝(委員長),福永高美(副委員長),上村臣男,奥田和夫,林田浩秋,山本良二,谷本誠一,岩原 昇

視察都市

月   日視 察 先調 査 事 項
 
10月10日(火曜日)滋賀県草津市

草津市学校業務改善プランについて

10月11日(水曜日)大阪府茨木市学校業務の改善について
10月12日(木曜日)静岡県藤枝市

視察目的

 国が働き方改革に取り組む中,文部科学省が平成28年度に実施した教員勤務実態調査では,週60時間以上勤務の教諭が小学校で33.5%,中学校で57.7%いるという結果が出た。これは,過労死の目安とされる水準である「過労死ライン」を超えたものである。
 そのような中,本委員会では「教員の勤務実態について」を所管事務調査のテーマとし,教員が児童生徒と向き合う時間を確保するため,市で何ができるか,何を改善しなければならないかを調査研究することとし,先進自治体の取り組みを参考とするため,視察を行った。

滋賀県草津市

(1)調査内容

 昨今の学校の業務改善は非常に厳しくなってきており,学校単位の取り組みだけでは解決できない状況に置かれていることから,草津市では,昨年度,学校業務改善プランを策定し,教員が子供と向き合う時間をつくり出し,より質の高い教育を実現するため,教育委員会が主体となって,学校の業務改善に取り組んでいた。
 その取り組みの一つとして,出席簿や指導要録の作成,成績処理等の各種校務を行う校務支援システムを整備し,教職員間の情報共有など,校務の効率化を図っていた。
 また,教職員が作成した優れた教材や指導案などを電子媒体に登録することによって,他の学校の教職員も自由にアクセス,ダウンロードできる総合教材ポータルサイト「たび丸ねっと」を整備していた。このサイトを活用することで,より簡単に情報を共有でき,業務の効率化を図っていた。
 そのほか,学校ごとに差違のあった学校徴収金の会計処理のルールを統一し,担当する教職員が処理しやすくするため,ガイドラインや要領を作成していた。また,学校給食費については,公会計化するとともに,要領に基づき学校給食費の徴収ルールも統一し,督促の際には市も関与するなど,教職員の負担軽減を図っていた。
 また,学校の業務改善を進めるためには,教職員の勤務時間を把握することが必要不可欠であることから,平成29年度からは,教育委員会でも各校における勤務実態を把握し,業務改善のさらなる推進に活用していた。
 また,学校が抱える課題が複雑化,多様化しているため,教職員の力だけで問題を解決することが困難になってきていることから,これからの学校では,教職員を中心に,多様な専門性を持つスタッフを含めた,チームとしての学校体制を整備するため,教育委員会は各種スタッフの配置を充実し,チーム学校を推進していた。
 学校の教職員は県費による配置が基本であるが,少人数指導やいじめなどの問題行動への対応等を図るため,県費による配置に加え,市費でも配置することにより,手厚い指導を行うとともに,教職員の負担軽減を図っていた。
 また,地域住民や学生等のボランティアによる学校支援活動が不可欠であることから,各学校での取り組みに加え,教育委員会でも促進策を講じ,ボランティアの活用促進を図っていた。あわせて,学生ボランティア派遣システムを構築し,教職への関心や社会貢献への意欲がある学生にも学校支援活動に参加してもらうことにより,学校支援活動の幅が広がり,学校運営の充実と教職員の負担軽減を図っていた。
 そのほか,市から学校へ依頼する業務の見直し,部活動の見直し,学校運営の強化などにも取り組んでいた。

(2)質疑応答

 取り組みに対する予算や現場の反発,「たび丸ねっと」への資料の登録方法,徴収業務による市当局の職員配置,持ち帰り業務の把握方法,教員が行う地域のボランティア活動状況などについて質疑が行われた。

(3)呉市での展開の可能性

 学校業務改善プランを策定して業務支援を行うことは必要なことである。
 また,教員が作成した教材などの資料をサイトに登録することにより,どの学校でも使えるようにしていたが,教材を共有できれば,作成する時間も手間も省け,授業の中身についても教員同士でいろいろな議論ができると思う。
 また,草津市はタイムカードを導入しておらず,残業時間のほかに持ち帰り業務も含めた時間外勤務の実態を把握していたが,その勤務実態の分析方法についても,今後の当市における施策展開を考える上で大変参考になった。

大阪府茨木市

(1)調査内容

 茨木市教育委員会では,平成20年度から3年間を一つのサイクルとしてプランを策定し,学力・体力向上施策に取り組んできたが,平成29年度からは「茨木っ子グローイングアッププラン」に基づき,これまでの学力・体力向上だけでなく,外国語教育や道徳教育の推進,いじめ,不登校などへの対応,支援教育の充実など,さまざまな課題に対応する総合的な教育施策を行っている。
 その一方で,学校業務の増大による教員の多忙化が,こうした取り組みの妨げになっていることから,教員が時間的,精神的に余裕を持って,子供と向き合うことができるよう業務改善を進めていた。
 主な取り組みとしては,全小中学校で週1日,遅くとも午後6時30分には教員が退校する全校一斉退校日を設定することや,中学校の部活動では,全部活動に週1日の休養日を設定していた。
 また,教員の事務負担を軽減するため,印刷,授業準備,事務作業などを行う業務サポーターを小中学校に配置するほか,業務改善サポートチームを派遣し,学校が進める業務改善の支援を行っていた。

(2)質疑応答

 業務サポーターの選定方法や採用方法,給食費の公会計化についての効果,取り組みに対する課題などについて質疑が行われた。

(3)呉市での展開の可能性

 学校内のマネジメントを専門で担うミドルリーダーを配置し,どの教員にも満遍なく支援が行き渡るような体制づくり,環境づくりは必要なことである。
 また,給食費の公会計化については,教員の業務や精神的な負担軽減のため,呉市でも採用してもよいのではないだろうか。

静岡県藤枝市

(1)調査内容

 藤枝市では,教員が行う校務事務を効率化し,教員の負担を軽減することで,子供と向き合う時間や授業を準備する時間を確保し,教育活動の質の向上を図るため,近隣の島田市,焼津市の3市で校務支援事務共同化協議会を立ち上げ,3市小中学校74校が同一の校務支援システムを導入し,様式等の標準化を行っていた。その校務支援システムを導入したことで,学校間の連携がスムーズになり,また情報が一元化され,事務処理の効率化につながったとのことである。
 そのほか,支援員等の配置やICT環境の整備,研修会の削減・見直しにも取り組んでおり,教育委員会としても,市単独の支援員等を配置したり,グループネットワークを導入したり,教員が授業に専念できる環境づくりに努めているが,学校側も現状の資源を活用し切れていない状況もあることから,これらの取り組みは,学校現場に教育委員会の取り組みを理解してもらうことが必要とのことである。
 また,昨年度からは,教員の長時間労働に歯どめをかけるための試みとして,冬期期間中の2カ月間,退勤時間の上限設定と学校への電話連絡の制限に取り組んでいた。小学校では19時,中学校は19時30分に退勤時間を設定し,18時以降の電話対応はボイスメッセージにするもので,成果としては,進路指導や保護者対応等の場合を除き,退勤時刻を守ることができ,教職員も勤務時間後の事務処理において,集中して業務に取り組めたとのことである。今後の課題としては,下校時刻の遅くなる夏季を含めた期間の実証が必要とのことである。
 また,藤枝市では,学校多忙化解消委員会を開催し,地域や家庭,学校などの代表が集まり,学校の多忙化解消に向けた人的支援や学校環境整備,地域や保護者への周知などについて意見交換及び協議を行っていた。

(2)質疑応答

 ICT環境整備後の支援員の派遣,ボイスメッセージの緊急時の対応方法,多忙化委員会の成果指標や地元意見の徴収方法などについて質疑が行われた。

(3)呉市での展開の可能性

  退勤時間の上限設定は,現場では難しい部分もあるかもしれないが,働き方改革という面では,線を引くことは重要なことである。このあたりも,今後の当市における施策展開を考える上で大変参考になった。