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平成28年度 文教企業委員会行政視察報告

期日

平成28年10月12日(水曜日)~14日(金曜日)

視察委員

中田光政(委員長),藤原広(副委員長),奥田和夫,山上文恵,田中みわ子,渡辺一照,梶山治孝,加藤忠二

視察都市

月   日視 察 先調 査 事 項
 
10月12日(水曜日)東京都日野市

学校における諸課題について

10月13日(木曜日)滋賀県長浜市
10月14日(金曜日)兵庫県伊丹市

視察目的

 当委員会では,「学校における諸課題について」を所管事務調査項目とし,「発達障害」を中心に調査研究を行っている。
 学校,保護者及び児童生徒たちそれぞれが抱える課題を調査の論点として,議論を行っているが,発達障害がある児童生徒にとって必要な環境の整備,また,保護者や学校の抱える課題に対して,どのような施策が有効であるかを検討する必要から,特色ある先進事例を調査することにした。

東京都日野市

(1)調査内容

 日野市では,発達面や行動面,学校生活面において支援を必要とする子供(対象年齢はゼロ歳から18歳)や,子供の育ちについて不安のある保護者や関係機関に対し,継続した支援と専門的で総合的な相談や支援を行うための施設として発達・教育支援センター「エール」(以下エール)を平成26年4月に開設している。
 エールは,福祉と教育が一体となり総合的な支援を実施する施設であることから,施設内に健康福祉部発達支援課及び教育委員会教育部教育支援課が配置され,両課を調整するため,センター長が配置されている。正規職員,医師や相談・指導員などの非常勤職員合わせて70名体制でさまざまな相談などに対応している。
 エールでは発達や教育に関する相談体制を一本化しており,保健師やスクールソーシャルワーカー,特別支援教育総合コーディネーターなどの多様な専門職による総合支援を行っていた。また,教育と福祉による切れ目のない一貫した支援を行っており,個別の支援計画「かしのきシート」を利用し,ゼロ歳から18歳まで継続的な見守りを行っている。また,「かしのきシート」は本年度から電算化されており,必要な情報をインターネット回線から素早く取り出すことができる。
 エールに寄せられる相談は複雑多様化しており,件数も増加しているとのことである。対応を工夫検討していくことが今後の課題とのことであった。

(2)質疑応答

 市民向けの意識啓発事業の展開,個別支援計画「かしのきシート」やエール運営上の課題や問題点,教育分野と福祉分野の具体的な連携について質疑が行われた。

(3)呉市での展開の可能性

 当市においても教育と福祉の連携は行っているが,同一施設内で両部門を統括するセンター長のもとで業務を行うことは,児童生徒及び保護者にとっては大変利便性が高い。また,ゼロ歳から18歳までの継続的な支援は,教育と福祉が連携している日野市ならではと言える。このような部局を一本化しての支援は呉市も見習うべきである。
 エールは発達障害のみならず,さまざまな障害に対して多様な専門職による相談体制が確立されていた。ハード面の施設建設は用地確保や建設費用,維持費など問題があり,当市の財政状況からいうと現実的に実現困難だが,多様な専門職による相談事業は,今後の当市における施策展開を考える上で大変参考になった。

滋賀県長浜市

(1)調査内容

 長浜市では,平成26年度の文部科学省受託事業を受け,ユニバーサルデザインの考え方を取り入れた授業づくりの研究を実施している。障害の有無にかかわらず,どの子供にとってもわかりやすい授業づくりを推進しており,互いに学び深め合う授業の構築を目指している。具体的には適切な実態把握による早期支援の実施,集団活動を取り入れた学級づくり,学び合う授業づくり,補充指導などの実施と指導方法の工夫である。
 導入後には,理解の遅い子供も一緒になり真剣に授業へ参加できるようになったことや,発達障害の可能性のある児童に対する早期支援や手立てを具体的に打ち出すことができるようになったことなど,一定の成果を上げたとのことである。また,受託事業のモデル校となった長浜市立長浜小学校を現地視察し,研究成果などについて話を聞いた後,学内見学も行った。
 また,文部科学省受託事業とは別に,市民向けの理解啓発用ハンドブックの作成実施,平成28年度新規事業としてメディカルコンサルテーション(医療相談事業)の実施や,平成25年度には関係課がより緊密に連携し,特別支援教育推進のために部局横断型チームを設置したとのことである。

(2)質疑応答

 学校における子供同士のかかわり方,発達障害と思われる児童が多い理由,教育と福祉の連携状況や部局間を横断化したことによる成果などについて質疑が行われた。

(3)呉市での展開の可能性

 呉市においても,発達障害などがある児童生徒を含む全ての児童生徒が落ちついて学習できるための環境づくりを推進している。長浜市が推進しているユニバーサルデザイン化による授業改善は,呉市の取り組みを充実強化する上で大変参考になる。また,日野市同様,長浜市においても部局間連携を推進していた。このことは教育と福祉のつながりが重要であることを示しており,呉市においてもさらなる連携強化が必要との認識を再確認した。

兵庫県伊丹市

(1)調査内容

 伊丹市では特別支援教育を着実に推進していくため,子供たちの障害の有無にかかわらず,ともに学ぶインクルーシブ教育システムの構築を進めている。状況に応じて提供する合理的配慮を実践するとともに,交流及び共同学習の実施や,域内の教育資源の組み合わせ(スクールクラスター)を活用した取り組みを行っている。
 教育委員会や拠点校へ合理的配慮協力員を配置するとともに,研修会の充実及び特別支援教育に係る保護者用啓発リーフレットの配布や,全小中学校で協力員及び指導主事による教職員対象の出前講座を行っている。事業実施による成果は,特別支援教育とインクルーシブ教育システムに関する教員の理解推進及びスキルの向上,リーフレット配布によって保護者の障害に対する理解・啓発へ一定の効果があったこと,市域全体を一つのクラスターとして取り組んだことによるインクルーシブ教育システムの構築と多様な学びの場の提供をすることができたとのことである。
 課題として,障害者差別解消法への対応,個別の指導・支援計画や相談記録などが記載されているサポートファイル「ステップ★ぐんぐん」の作成活用,通級指導体制の充実などを挙げていた。

(2)質疑応答

 保護者から相談を受けてからの対応,啓発リーフレットの事業効果,教職員用に作成されたパンフレットの利活用方法などについて質疑が行われた。

(3)呉市での展開の可能性

  発達障害について,保護者向けにわかりやすいリーフレットを作成し,理解・啓発に努めていた。そのリーフレットの配布が,子供が発達障害かもしれないという気づきにつながったのではないかとのことである。悩んだときの相談窓口も記載しており大変わかりやすく,リーフレットによる保護者への啓発に一定の効果があることがわかり,呉市においてもこのような取り組みを行ってはどうかと考える。