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令和4年度 文教企業委員会行政視察報告

期日

令和4年5月23日(月曜日)~25日(水曜日)

視察委員

谷惠介(委員長)、藤本哲智(副委員長)、上村臣男、沖田範彦、光宗等、林田浩秋、福永高美

視察都市

月   日 視 察 先 調 査 事 項
 
5月23日(月曜日) 静岡県浜松市

浜松市水道事業ビジョンについて

5月24日(火曜日)

京都府京都市

蹴上浄水場における歴史的建造物の曳家工事等について

5月25日(水曜日)

株式会社クボタ阪神工場

(兵庫県尼崎市)

管路更新,耐震化,最新技術等について​

視察目的

 本市の上下水道事業を取り巻く環境は、人口減少などを要因とした水需要の減少傾向や市民ニーズの多様化など大きく変化している。水道料金収入及び下水道使用料収入は今後も減少が見込まれるため、厳しい経営環境の中での財源確保が必要となる。さらに、今後、高度経済成長期に建設・布設した施設の多くが更新を迎えるため、施設の適切な維持管理が大きな課題となっている。このことから、本委員会では「将来的な上下水道事業のあり方について」を所管事務調査のテーマとして調査研究することとし、先進自治体等の取組の視察を行った。

静岡県浜松市

(1)調査内容

 浜松市では、昭和6年の給水開始以降、人口増加や産業経済の発展、市町村合併など、さまざまな社会環境の変化に伴う水需要の増加に対応するため、度重なる拡張により、施設の充実に努めてきた。しかしながら、令和7年以降は水需要や給水収益の減少が見込まれ、職員の高齢化や人員不足などもあり、厳しい財政状況に対応するための財務体質の強化が課題となっている。さらに、法定耐用年数40年を超過した管路が総延長の約20%を占めており、将来的にも安心・安全な水道サービス水準を維持するため、財源の裏づけを伴った計画的な管路の更新が課題となっている。これらの課題の解決策として、外部委託の積極的な活用により維持管理費用を縮減する、アセットマネジメント計画を策定し、施設等の更新基準年数を法定耐用年数から実耐用年数に見直すなどの取組を行っている。

(2)質疑応答

 水道料金の設定状況、外部委託の主な活用例、職員間の技術継承、管路耐震化事業計画の実施状況等について質疑が行われた。

(3)呉市での展開の可能性

 施設等を更新する際の基準年数を法定耐用年数にこだわることなく、実耐用年数とすることで、更新費用の平準化はできるが、それでは寿命を延ばしただけに過ぎない。浜松市では新たな維持管理手法として「リスクベース・メンテナンス」(“すべて”から“選択と集中”へ)を導入しており、リスクに見合った維持管理手法を取り入れている。呉市においても、法定耐用年数を超えた更新基準年数を定めているが、“選択と集中”の考え方を活用し、リスクに見合った維持管理手法により、更新費用をさらに縮減していく必要がある。

京都府京都市

(1)調査内容

 京都市では、日本最初の急速ろ過式浄水場として、明治45年から給水を開始した歴史的建造物である蹴上浄水場の更新に際し、第1高区配水池レンガ上屋を曳家工法で移設した。工事においては、耐震性の向上をはじめ、維持補修の容易性、さらに創設期の赤レンガ造りの趣ある伝統的な面影を残すことなどをコンセプトに整備を実施している。経営に関しては、水需要の減少が顕著な状況の中、水道使用量を増やすためのPR活動として、夏のお風呂の入浴推進、省エネルギーでのヒートアイランド対策、熱中症予防への効果を期待して、ドライ型ミスト装置の設置などの取組を行っている。

(2)質疑応答

 第1高区配水池の更新に際し、曳家工法で移設することとなった経緯及び施工する上での課題、水道使用量を増やすためのPR活動、PR活動後の水道使用量の変化などについて質疑が行われた。

(3)呉市での展開の可能性

 本市においても、二河水源地や平原浄水場低区配水池など、歴史的建造物を複数有している。築造から100年以上経過する施設もあり、老朽化に伴う改良工事などを検討する際に、蹴上浄水場の曳家工法も選択肢の一つとして参考となる。また、今後は、水道使用量を増やすための取組について、京都市等の事例を参考に検討し、SNS等を活用したPR活動などを通じて広報していく必要がある。

株式会社クボタ阪神工場

(1)調査内容

 株式会社クボタ阪神工場は、本市でも使用しているダクタイル鋳鉄管をはじめ、鋳鉄管の専門工場として昭和15年(1940年)に設立され、用途や工法に応じた継ぎ手や、サイズも口径75mm~2,600mm、管長4m~6mと、幅広く生産している。ダクタイル鋳鉄管の製造工程を視察するとともに、実際に60年以上使用したダクタイル鋳鉄管を目視したところ、管自体の亀裂や大きな損傷が見られないだけでなく、管内のゴム素材も劣化しておらず、高い耐久性を保持していることが確認できた。また、配管工の人手不足による管路更新率の低迷が問題となる中、IOTを活用した水道工事の施工情報システムを提供している。

(2)質疑応答

 ダクタイル鋳鉄管の耐震性や耐久性、特許等について、また、施工情報システムの運用状況、操作方法等について質疑を行った。

(3)呉市での展開の可能性

 本市においても、管路の更新工事を計画的に進めているが、技術職員の高齢化や管工事を担う民間工事業者の減少などの課題がある。水道関係事業者が、デジタル技術を使った工事管理システムを活用することは大変有効であると考えられる。今後、IOTを活用した取組においては、呉市全体で進めるスマートシティ「くれ」の一環として、積極的に検討する必要がある。