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平成30年度 総務委員会行政視察報告

期日

平成30年5月22日(火曜日)~24日(木曜日)

視察委員

井手畑隆政(委員長)、谷惠介(副委員長)、檜垣美良、久保東、神田隆彦、中田光政

視察都市

月   日視 察 先                 調 査 事 項
 

5月22日(火曜日)

宮城県塩竃市東日本大震災被災当時の避難所での状況について
5月23日(水曜日)東京都墨田区女性の防災対策懇談会での取り組みについて
5月24日(木曜日)東京都江戸川区災害に対応した学校づくりについて

視察目的

 現在、呉市では、総合的かつ計画的な防災行政の推進を図り、市民の生命、身体及び財産を災害から保護することを目的とした「呉市地域防災計画」作成し、運用している。
 しかし、呉市では大雨や台風等による短期間の避難所開設しか実績がなく、実際に大規模災害が発生した場合、さまざまな問題が発生してくることが予想される。
 このたび、避難所のあり方についての議論をさらに深めるため、東日本大震災当時の避難所での状況や、さまざまな視点からの避難所運営、災害に対応した学校づくりについて、先進事例を調査した。

宮城県塩竃市

(1)調査内容

 平成23年3月11日14時46分ごろに発生した三陸沖を震源とするマグニチュード9の巨大地震により、塩竃市の沿岸部に津波が襲来し、津波の高さは、本土側ではおおむね 1.5~ 4.8メートル、浦戸地区では8メートル(標高)を超え、浸水範囲が本土地区では市域面積の約22%、浦戸地区では全島において居住区域に達するなど甚大な被害をもたらした。
  避難所の運営状況(平成26年4月1日現在)は、3月11日では、39カ所 8,047人、 3月12日は46カ所 8,771人、4月1日は6カ所 770人、7月13日に避難所閉鎖となった。
  現在、「復興整備計画」に基づき、復興事業に約 600億円、復興交付金事業で 586億円、合計 1,200億円を投入し、土地区画整理事業や水産加工業施設整備、中心市街地の復興などに取り組み、全体の事業費の80%超を消化している。

(2)質疑応答

 災害を受けた直後の避難方法や要支援者の避難所の受け入れ状況等、地域住民と行政等との情報共有のあり方についてについて質疑を行った。
  また、海に近い地域において、津波避難ビルに指定されているビルと商業施設を結ぶ通路を津波避難デッキ(マリンデッキ)として設置した経緯、被災後の復興状況、防災対策について質疑を行った。

(3)呉市での展開の可能性

 津波災害は島の存在や湾の入り組み方など、地形的条件の影響を受けやすいとの説明を受けた。呉市においては、瀬戸内海に面し、目の前に島嶼部を持つなどの地形的特徴を把握した上で、防災対策に取り組む必要がある。
  また、津波対策として、避難通路と避難場所を兼ねる「津波避難デッキ(マリンデッキ)」は津波防災対策として大変有効であり、呉市においても、中央桟橋周辺等で検討できるアイデアである。
  塩竃市長の誓いの中に、「構造物による災害対策には限界があることを生涯忘れまい」と示されているように、構造物による対策と備えはもちろん大切であるが、豪雨災害、土砂災害、台風災害など、さまざまな種別の災害に対して、地域住民、自治会、自主防災会、防災リーダー、行政の地域担当者などを含む避難所訓練、避難所運営訓練を定期的に行い、地域のつながりを常日ごろから育んでいくことが大変重要であることを改めて再認識した。

東京都墨田区

(1)調査内容

 平成23年3月11日に発生した東日本大震災により、避難所での女性や子育て家庭へのニーズへの配慮や、予防・応急・復旧・復興の場における女性の参画の推進等、さまざまな課題が浮き彫りとなった。
  そこで、区では、町会長・すみだ女性センター運営委員会委員・墨田区男女共同参画推進委員会委員・墨田区子ども子育て会議委員・高齢者支援総合センター職員など、普段から地域で活動している女性を区民委員とした「女性の防災対策懇談会」を発足させ、女性や男女共同参画の視点など、さまざまな角度から防災対策に対して意見を集約した。
その中で、女性防災リーダーの育成や女性向けの衣類・衛生用品、乳幼児のミルク及びおむつなどの確保などに加え、プライバシーの確保や防犯対策など、避難所の運営に関する現状の課題を分析・検討を行い、女性や要援護者に配慮した防災対策を推進した。

(2)質疑応答

 防災マニュアルや避難所運営マニュアルなど、市民向けにさまざまなマニュアルが作成されているが、今後それらを広く市民に対し、いかに効果的な広報を行うかについて質疑を行った。
 また、避難所や地域防災リーダーの現状について質疑を行い、今後の展開について活発な質疑を行った。

(3)呉市での展開の可能性

 「女性の防災対策懇談会」が設置され、委員8名により「避難所の生活環境について」というテーマで協議し、区への7つの提言がなされた。女性ならではの視点からなされた提言は、呉市においても災害への備えとして大変参考となった。
 この提言を、より実効性のあるものにしていくため、今後、地域防災計画に反映されると伺い、呉市においても、さまざま観点から呉市地域防災計画を見直していく必要があると感じた。
 また、参考資料としていただいた「東京くらし防災」という東京都発行の市民向け冊子は、日常的な防災知識を提供するものとして大変効果的であり、防災に関するさまざまな知識等を市民向けにまとめた資料が呉市においても必要であると実感した。
 

東京都江戸川区

(1)調査内容

 小中学校は、未来を担う子どもたちの学びの場であるとともに、地域住民の集う場ともなり、災害時には避難・復旧の拠点となる、地域の中核施設である。
  地域の避難所となる学校の防災機能整備に当たっては、早期に学校教育活動を再開させることを念頭に、想定される避難者数や、起こり得る災害種別のリスクを十分に考慮し、学校設置者と防災担当部局との間でお互いの役割を明確にしていた。また、施設の安全性の確保や避難所として必要な機能の確保、避難所の円滑な運営方法の確立、学校教育活動の早期再開などを踏まえ、計画を進めている。
  さらに、災害発生から避難所の解消までのプロセスについては、(1)救命避難期、(2)生命確保期、(3)生活確保期、(4)教育活動再開期の4つの段階(フェーズ)に区分し、おのおのの段階で必要となる防災機能を整理している。避難所として必要な機能は各段階で変化していくことから、これらのプロセスに留意して対策を検討していた。
特に、避難生活が長期化する場合には、避難者の生活の質に十分配慮することが重要であるとのことであった。

(2)質疑応答

  小学校を改築していくに当たっての、どこの担当課が中心となって計画を進め、財源や基金をどのように活用したかについて質疑を行った。
 また、完成後の施設管理を地域の業者中心となって行うための入札方法等について質疑を行った。
 そのほか、施設を運用するに当たり、利点、問題点及び改善への取り組みついて質疑を行った。

(3)呉市での展開の可能性

 江戸川区立「第三松江小学校」は、災害時における地域防災拠点機能を備えるとともに、環境に配慮したエコ・スクールである。
 災害対策機能については、設計段階から、誰でも操作できるよう配慮され、また、災害時には、上空から学校が認識できるよう、屋上に学校名が大きく書かれているなど、さまざまな災害対策が講じられている。
 さらに区では、学校改築の際に防災や環境対策をより一層推し進めていくため、計画的に 500億円程度の基金を積み立てるとともに、国、都の補助金を有効に活用しながら、学校改築工事を計画的に実施している。
 呉市においても、学校の改築・新築に関しては、教育の場としての機能のみならず、地域における学校の役割を地域とともに検討しつつ、将来を見据え、未来に向けた有効な投資となるよう全庁で取り組んでいくべきである。