○呉市準用河川管理施設等の構造に関する技術的基準を定める条例
平成24年12月19日条例第74号
呉市準用河川管理施設等の構造に関する技術的基準を定める条例
目次
第1章 総則(第1条・第2条)
第2章 堤防(第3条―第17条)
第3章 床止め(第18条―第21条)
第4章 橋(第22条―第30条)
第5章 伏せ越し(第31条―第35条)
第6章 雑則(第36条―第38条)
付則
第1章 総則
(趣旨)
(定義)
第2条 この条例で使用する用語は,特別の定めのある場合を除くほか,法及び河川管理施設等構造令(昭和51年政令第199号)で使用する用語の例による。
第2章 堤防
(構造の原則)
第3条 堤防は,護岸,水制その他これらに類する施設と一体として,計画高水位(高潮区間にあっては,計画高潮位)以下の水位の流水の通常の作用に対して安全な構造とするものとする。
(材質及び構造)
第4条 堤防は,盛土により築造するものとする。ただし,土地利用の状況その他の特別の事情によりやむを得ないと認められる場合においては,その全部若しくは主要な部分がコンクリート,鋼矢板若しくはこれらに準ずるものによる構造のものとし,又はコンクリート構造若しくはこれに準ずる構造の胸壁を有するものとすることができる。
(高さ)
第5条 堤防の高さは,計画高水位に別表第1の左欄に掲げる計画高水流量の区分に応じて同表の右欄に定める値を加えた値以上とするものとする。ただし,堤防に隣接する堤内の土地の地盤高(以下「堤内地盤高」という。)が計画高水位より高く,かつ,地形の状況等により治水上の支障がないと認められる区間にあっては,この限りでない。
2 前項の堤防のうち高潮区間の堤防の高さは,同項の規定によるほか,計画高潮位に波浪の影響を考慮して必要と認められる値を加えた値を下回らないものとする。
3 胸壁を有する堤防の胸壁を除いた部分の高さは,計画高水位(高潮区間にあっては,計画高潮位)以上とするものとする。
(天端幅)
第6条 堤防の天端幅は,堤防の高さと堤内地盤高との差が0.6メートル未満である区間を除き,別表第2の左欄に掲げる計画高水流量の区分に応じて同表の右欄に定める値以上とするものとする。ただし,計画高水流量が1秒間につき500立方メートル以上である場合において堤内地盤高が計画高水位より高く,かつ,地形の状況等により治水上の支障がないと認められる区間にあっては,3メートル以上とすることができる。
(盛土による堤防の(のり)勾配等)
第7条 盛土による堤防(胸壁の部分及び護岸で保護される部分を除く。次項において同じ。)の(のり)勾配は,堤防の高さと堤内地盤高との差が0.6メートル未満である区間を除き,50パーセント以下とするものとする。
2 盛土による堤防の(のり)面は,芝等によって覆うものとする。
(小段)
第8条 堤防の安定を図るため必要がある場合においては,その中腹に小段を設けるものとする。
2 堤防の小段の幅は,3メートル以上とするものとする。
(側帯)
第9条 堤防の安定を図るため必要がある場合又は非常用の土砂等を備蓄し,若しくは環境を保全するため特に必要がある場合においては,規則で定めるところにより,堤防の裏側の脚部に側帯を設けるものとする。
(護岸)
第10条 流水の作用から堤防を保護するため必要がある場合においては,堤防の表(のり)面又は表小段に護岸を設けるものとする。
(水制)
第11条 流水の作用から堤防を保護するため,流水の方向を規制し,又は水勢を緩和する必要がある場合においては,適当な箇所に水制を設けるものとする。
(管理用通路)
第12条 堤防には,規則で定めるところにより,河川の管理のための通路(以下「管理用通路」という。)を設けるものとする。
(波浪の影響を著しく受ける堤防に講じるべき措置)
第13条 高潮区間又は2以上の河川が合流する箇所の堤防その他の堤防で波浪の影響を著しく受けるものには,必要に応じ,次に掲げる措置を講じるものとする。
(1) 表(のり)面又は表小段に護岸又は護岸に加え波返工を設けること。
(2) 前面に消波工を設けること。
2 前項に規定する堤防で越波のおそれがあるものには,同項各号に掲げる措置のほか,必要に応じ,次に掲げる措置を講じるものとする。
(1) 天端,裏(のり)面及び裏小段をコンクリートその他これに類するもので覆うこと。
(2) 裏(のり)尻に沿って排水路を設けること。
(背水区間の堤防の高さ及び天端幅の特例)
第14条 甲河川と乙河川が合流することにより乙河川に背水が生じることとなる場合においては,合流箇所より上流の乙河川の堤防の高さは,第5条第1項及び第2項の規定により定められるその箇所における甲河川の堤防の高さを下回らないものとする。ただし,堤内地盤高が計画高水位より高く,かつ,地形の状況等により治水上の支障がないと認められる区間及び逆流を防止する施設によって背水が生じないようにすることができる区間にあっては,この限りでない。
2 前項本文の規定により乙河川の堤防の高さが定められる場合においては,その高さと乙河川に背水が生じないとした場合に定めるべき計画高水位に別表第1の左欄に掲げる計画高水流量の区分に応じて同表の右欄に定める値を加えた高さとが一致する地点から当該合流箇所までの乙河川の区間(以下「背水区間」という。)の堤防の天端幅は,第6条の規定により定められるその箇所における甲河川の堤防の天端幅を下回らないものとする。ただし,堤内地盤高が計画高水位より高く,かつ,地形の状況等により治水上の支障がないと認められる区間にあっては,この限りでない。
(高潮区間の堤防の天端幅の特例)
第15条 高潮区間の堤防に第13条第1項第1号に掲げる措置を講じる場合における当該堤防の天端幅は,第6条及び前条第2項の規定にかかわらず,第13条の規定により講じる措置の内容及び当該堤防に接続する堤防(計画横断形が定められている場合には,当該計画横断形に係る堤防(以下「計画堤防」という。))の天端幅を考慮して,3メートル以上で適切な値とすることができる。
(天端幅の規定の適用除外等)
第16条 その全部又は主要な部分がコンクリート,鋼矢板又はこれらに準ずるものによる構造の堤防については,第6条,第14条第2項及び前条の規定は,適用しない。
2 胸壁を有する堤防に関する第6条,第14条第2項及び前条の規定の適用については,胸壁を除いた部分の上面における堤防の幅から胸壁の直立部分の幅を減じたものを堤防の天端幅とみなす。
(連続しない工期を定めて段階的に築造される堤防の特例)
第17条 堤防の地盤の地質,対岸の状況,上流及び下流における河岸及び堤防の高さその他の特別の事情により,連続しない工期を定めて段階的に堤防を築造する場合においては,それぞれの段階における堤防について,計画堤防の高さと当該段階における堤防の高さとの差に相当する値を計画高水位(高潮区間にあっては,計画高潮位。以下この条において同じ。)から減じた値の水位を計画高水位とみなして,この章(第14条及び前条を除く。)の規定を適用する。
第3章 床止め
(構造の原則)
第18条 床止めは,計画高水位(高潮区間にあっては,計画高潮位)以下の水位の流水の作用に対して安全な構造とするものとする。
2 床止めは,付近の河岸及び河川管理施設の構造に著しい支障を及ぼさない構造とするものとする。
(護床工)
第19条 床止めを設ける場合において,これに接続する河床の洗掘を防止するため必要があるときは,適当な護床工を設けるものとする。
(護岸)
第20条 床止めを設ける場合においては,流水の変化に伴う河岸又は堤防の洗掘を防止するため,規則で定めるところにより,護岸を設けるものとする。
(魚道)
第21条 床止めを設ける場合において,魚類の遡上等を妨げないようにするため必要があるときは,規則で定めるところにより,魚道を設けるものとする。
第4章 橋
(河川区域内に設ける橋台及び橋脚の構造の原則)
第22条 河川区域内に設ける橋台及び橋脚は,計画高水位(高潮区間にあっては,計画高潮位)以下の水位の流水の作用に対して安全な構造とするものとする。
2 河川区域内に設ける橋台及び橋脚は,計画高水位以下の水位の洪水の流下を妨げず,付近の河岸及び河川管理施設の構造に著しい支障を及ぼさず,並びに橋台又は橋脚に接続する河床の洗掘の防止について適切に配慮された構造とするものとする。
(橋台)
第23条 河岸又は川幅が50メートル以上の河川,背水区間若しくは高潮区間に係る堤防(計画横断形が定められている場合には,計画堤防。以下この条において同じ。)に設ける橋台は,流下断面内に設けてはならない。ただし,山間狭(さく)部であることその他河川の状況,地形の状況等により治水上の支障がないと認められるときは,この限りでない。
2 堤防に設ける橋台(前項の橋台に該当するものを除く。)は,堤防の表(のり)肩より表側の部分に設けてはならない。
3 堤防に設ける橋台の表側の面は,堤防の(のり)線に平行して設けるものとする。ただし,堤防の構造に著しい支障を及ぼさないために必要な措置を講じるときは,この限りでない。
4 堤防に設ける橋台の底面は,堤防の地盤に定着させるものとする。
(橋脚)
第24条 河道内に設ける橋脚(基礎部(底版を含む。次項において同じ。)その他流水が作用するおそれがない部分を除く。以下この項において同じ。)の水平断面は,できるだけ細長い()円形その他これに類する形状のものとし,かつ,その長径(これに相当するものを含む。)の方向は,洪水が流下する方向と同一とするものとする。ただし,橋脚の水平断面が極めて小さいとき,橋脚に作用する洪水が流下する方向と直角の方向の荷重が極めて大きい場合であって橋脚の構造上やむを得ないと認められるとき,又は洪水が流下する方向が一定でない箇所に設けるときは,橋脚の水平断面を円形その他これに類する形状のものとすることができる。
2 河道内に設ける橋脚の基礎部は,河床の表面から深さ2メートル以上の部分に設けるものとする。ただし,河床の変動が極めて小さいと認められるとき又は河川の状況その他の特別の事情によりやむを得ないと認められるときは,河床の表面より下の部分に設けることができる。
(径間長)
第25条 橋脚を河道内に設ける場合においては,当該箇所において洪水が流下する方向と直角の方向に河川を横断する垂直な平面に投影した場合における隣り合う河道内の橋脚の中心線間の距離(河岸又は堤防(計画横断形が定められている場合には,計画堤防。以下この条において同じ。)に橋台を設ける場合においては橋台の胸壁の表側の面から河道内の直近の橋脚の中心線までの距離を含み,河岸又は堤防に橋台を設けない場合においては当該平面上の流下断面(計画横断形が定められている場合には,当該計画横断形に係る流下断面)の上部の角から河道内の直近の橋脚の中心線までの距離を含む。以下この条において「径間長」という。)は,山間狭(さく)部であることその他河川の状況,地形の状況等により治水上の支障がないと認められる場合を除き,次の式によって得られる値(その値が50メートルを超える場合においては,50メートル)以上とするものとする。ただし,径間長を次の式によって得られる値(以下この項及び第3項において「基準径間長」という。)以上とすればその平均値を基準径間長に5メートルを加えた値を超えるものとしなければならないときは,径間長は,基準径間長から5メートルを減じた値(30メートル未満となるときは,30メートル)以上とすることができる。
径間長(単位 メートル)=20+0.005×計画高水流量(単位 1秒間につき立方メートル)
2 次の各号のいずれかに該当する橋(規則で定める主要な公共施設に係る橋を除く。)の径間長は,河川管理上著しい支障を及ぼすおそれがないと認められるときは,前項の規定にかかわらず,当該各号に定める値以上とすることができる。
(1) 計画高水流量が1秒間につき500立方メートル未満で川幅が30メートル未満の河川に設ける橋 12.5メートル
(2) 計画高水流量が1秒間につき500立方メートル未満で川幅が30メートル以上の河川に設ける橋 15メートル
(3) 計画高水流量が1秒間につき500立方メートル以上2,000立方メートル未満の河川に設ける橋 20メートル
3 基準径間長が25メートルを超えることとなる場合においては,第1項の規定にかかわらず,流心部以外の部分に係る橋の径間長を25メートル以上とすることができる。この場合においては,橋の径間長の平均値は,同項の規定により定められる径間長以上としなければならない。
4 河道内に橋脚が設けられている橋その他の河川を横断して設けられている既設の橋等の施設に近接して設ける橋の径間長については,これらの施設の相互の関係を考慮して治水上必要と認められる範囲内において規則で定めるものとする。
(桁下高等)
第26条 橋の桁下高は,計画高水位に別表第1の左欄に掲げる計画高水流量の区分に応じて同表の右欄に定める値を加えた値以上で,高潮区間においては計画高潮位を下回らず,その他の区間においては当該地点における河川の両岸の堤防(計画横断形が定められている場合において,計画堤防の高さが現状の堤防の高さより低く,かつ,治水上の支障がないと認められるとき,又は計画堤防の高さが現状の堤防の高さより高いときは,計画堤防。次項において同じ。)の表(のり)肩を結ぶ線の高さを下回らないものとする。
2 橋面(路面その他規則で定める橋の部分をいう。)の高さは,背水区間又は高潮区間においても,橋が横断する堤防の高さ以上とするものとする。
(桁下高等の特例)
第27条 背水区間に設ける橋の桁下高は,治水上の支障がないと認められるときは,前条第1項の規定にかかわらず,次に掲げる高さのうちいずれか高い方の高さ以上とすることができる。
(1) 当該河川に背水が生じないとした場合に定めるべき計画高水位に,別表第1の左欄に掲げる計画高水流量の区分に応じて同表の右欄に定める値を加えた高さ
(2) 計画高水位(高潮区間にあっては,計画高潮位)
2 地盤沈下のおそれがある地域に設ける橋の桁下高は,前条第1項及び前項の規定によるほか,予測される地盤沈下及び河川の状況を勘案して必要と認められる高さを下回らないものとする。
(護岸等)
第28条 第19条及び第20条の規定は,橋を設ける場合について準用する。
2 前項の規定による場合のほか,橋の下の河岸又は堤防を保護するため必要があるときは,河岸又は堤防をコンクリートその他これに類するもので覆うものとする。
(管理用通路の構造の保全)
第29条 橋(取付部を含む。)は,規則で定めるところにより,管理用通路の構造に支障を及ぼさない構造とするものとする。
(適用除外)
第30条 第23条第1項から第3項まで及び第24条から第27条までの規定は,遊水地その他これに類するものの区域(規則で定める要件に該当する区域を除く。)内に設ける橋及び治水上の影響が著しく小さいものとして規則で定める橋については,適用しない。
第5章 伏せ越し
(適用の範囲)
第31条 この章の規定は,用水施設又は排水施設である伏せ越しについて適用する。
(構造の原則)
第32条 伏せ越しは,計画高水位(高潮区間にあっては,計画高潮位)以下の水位の流水の作用に対して安全な構造とするものとする。
2 伏せ越しは,計画高水位以下の水位の洪水の流下を妨げず,並びに付近の河岸及び河川管理施設の構造に著しい支障を及ぼさない構造とするものとする。
(構造)
第33条 堤防(計画横断形が定められている場合には,計画堤防を含む。以下この項及び第35条において同じ。)を横断して設ける伏せ越しにあっては,堤防の下に設ける部分とその他の部分とは,構造上分離するものとする。ただし,堤防の地盤の地質,伏せ越しの深さ等を考慮して,堤防の構造に支障を及ぼすおそれがないときは,この限りでない。
2 伏せ越しは,鉄筋コンクリート構造又はこれに準ずる構造とするものとする。
3 伏せ越しは,堆積土砂等の排除に支障のない構造とするものとする。
(ゲート等)
第34条 伏せ越しには,流水が河川外に流出することを防止するため,河川区域内の部分の両端又はこれに代わる適当な箇所に,ゲート(バルブを含む。次項において同じ。)を設けるものとする。ただし,地形の状況により必要がないと認められるときは,この限りでない。
2 ゲートの開閉装置は,ゲートの開閉を確実に行うことができる構造とするものとする。
3 伏せ越しには,必要に応じ,管理橋その他の適当な管理施設を設けるものとする。
(深さ)
第35条 伏せ越しは,河床の表面から,堤防の下の部分においては堤防の地盤面から,それぞれ深さ2メートル以上の部分に設けるものとする。ただし,河床の変動が極めて小さいと認められるとき又は河川の状況その他の特別の事情によりやむを得ないと認められるときは,それぞれ河床の表面又は堤防の地盤面より下の部分に設けることができる。
第6章 雑則
(適用除外)
第36条 この条例の規定は,次に掲げる河川管理施設又は許可工作物(以下「河川管理施設等」という。)については,適用しない。
(1) 治水上の機能を早急に向上させる必要がある小区間の河川における応急措置として設けられる河川管理施設等
(2) 臨時に設けられる河川管理施設等
(3) 工事を施行するために仮に設けられる河川管理施設等
(4) 特殊な構造の河川管理施設等で,その構造が第2章から前章までの規定によるものと同等以上の効力があると市長が認めるもの
(計画高水流量等の決定又は変更があった場合の適用の特例)
第37条 河川管理施設等が,これに係る工事の着手(許可工作物にあっては,河川条例第2条第1項の許可。以下この条において同じ。)があった後における計画高水流量,計画横断形,計画高水位又は計画高潮位(以下この条において「計画高水流量等」という。)の決定又は変更によってこの条例の規定に適合しないこととなった場合においては,当該河川管理施設等については,当該計画高水流量等の決定又は変更がなかったものとみなして当該規定を適用する。ただし,工事の着手が当該計画高水流量等の決定又は変更の後である改築(災害復旧又は応急措置として行われるものを除く。)に係る河川管理施設等については,この限りでない。
(小河川の特例)
第38条 計画高水流量が1秒間につき100立方メートル未満の小河川に設ける河川管理施設等については,規則で定めるところにより,この条例の規定によらないものとすることができる。
付 則
この条例は,平成25年4月1日から施行する。
別表第1(第5条,第14条,第26条,第27条関係)

計画高水流量(単位 1秒間につき立方メートル)

計画高水位に加える値(単位 メートル)

200未満

0.6

200以上500未満

0.8

500以上2,000未満

別表第2(第6条関係)

計画高水流量(単位 1秒間につき立方メートル)

天端幅(単位 メートル)

500未満

500以上2,000未満