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『豊島タチウオ』 がGI登録されました!(県内初)


GI登録とは?

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Q1 GI登録(Gi:Geographical Indication)地理的表示保護制度とは?
A1 地域で育まれた伝統を有し,その高い品質などが生産地と結びついている農林水産物の名称を,知的財産として保護する制度です。世界では既に100ヶ国以上が導入し,日本では平成27年から導入されました。
 現在まで 夕張メロン,神戸ビーフ,下関ふく など全国で82産品が登録されています。
 広島県内では未登録で,『豊島タチウオ』が比婆牛とともに最初の登録となりました!!

Q2 GI登録されるとどのような効果がありますか?
A2 登録されると,基準を満たすものだけが『豊島タチウオ』を名乗れ,GIマークの使用ができます。また,模造品を取り締まることで,産品の信頼度が向上し,ブランド価値が高まります。生産者は,産地の特性が明確になって,生産方法の共通化が図られます。

Q3 『豊島タチウオ』をGI登録しようとした目的は?
A3 (1) 品質の高いこのタチウオを,全国的に認知されるブランドにするため。
   (2) 漁師(組合員)が製品にプライドを持ち,将来に渡り品質管理の徹底を図るため。
   (3) 伝統の一本釣りの島として,シビックプライド(地域の誇りや愛着)を醸成するため。

Q4 『豊島タチウオ』がG登録されるまでの審査手続きは?
A4 (1) 平成29年11月29日 農林水産省へ登録申請 (申請番号第150号)
   (2) 平成30年10月 9日 補正通知 (農林水産省食料産業局知的財産課より)
   (3) 平成30年11月29日 現地調査
   (4) 平成31年 4月 1日 公 示 (農林水産省ホームページ)
   (5) 令和 元年 6月 3日 縦覧期間
   (6) 令和 元年 7月 1日 意見書提出期間
   (7) 令和 元年 9月 2日 学識経験者の意見聴取
   (8) 令和 元年 9月 9日 GI登録 (登録番号 84号)


 

 

1 『豊島タチウオ』の特性

1.恵まれた漁場
  『豊島タチウオ』の主たる漁場は,呉市豊浜町豊島沖の海域で,昔からアビが群れで渡来するほど餌となるイカナゴや小魚が豊富な漁場です。回遊魚であるタチウオにとって良好な海域となっています。 

2.外観の美しさ
  豊島の漁師が受け継いできた釣りの技術の高さにより,体を覆う表皮に傷が無く,細長い尻尾も最後まで切れてなく,銀白色に輝く『瀬戸の名刀』と呼ばれてきた外観の美しさがあります。

3.鮮度の高さ
  1匹づつ釣り上げたタチウオを船上で選別し,箱詰め・氷詰めにして鮮度管理を徹底しています。身が締まってコリコリとした食感があります。見た目の美しさや鮮度の高さなどが高く評価され,他産地のものと比べ,市場において2~3割高値で取引されています。

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2 生産の方法

ア) 豊島沖の海域で,網を使わず釣り漁法(ひき縄)で釣り上げます。

イ) 船上で表皮の傷や剥がれ,尻尾切れのないものを,サイズ別に出荷用の発泡スチロール箱に詰めて,直ちに氷締めにします。

ウ) 出荷用製品は,すべて豊島漁港に水揚げし,荷さばき施設に集荷します。

エ) 漁協職員が再度の選別を行い,「豊島タチウオ」の最終製品は鮮魚として出荷します。

 

3 生産されてきた実績

1.『豊島タチウオ』の漁場である海域は,昭和6年に国の天然記念物「アビ渡来群游海面」の指定を受けるほど餌の豊富な恵まれた漁場です。豊島の漁師の釣りの技術は,この渡来するあびを媒介として,元禄6年(1693年)より行われていた「アビ漁」に始まります。
 冬場の魚が岩場から出て来ない時期に,アビを媒介とする漁で生計を立て,親から子へと釣りの技術を伝え,アビと漁師の絆が300年以上受け継がれてきました。 

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2.さらに豊島の漁師の釣りの技術を高めたのは,明治24年(1891年)頃から始まった県外出漁です。寝室や台所を備えた「家船(えぶね)」と呼ばれる船で,遠くは対馬や五島列島などに出漁してきました。昭和5年(1930年)の資料では,6県78漁場へ出漁していた記録があります。
 タチウオは,群れをなして広い海域を回遊する魚なので,漁師も幅広く移動する事が要求され,魚を追って移動する家船生活が,各漁場の豊富な知識や経験を得る事となり,タチウオの群れを正確に捜し,獲る技術の向上に繋がっています。

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3.豊島の漁師がタチウオ釣りに転換したのは,昭和30年(1950年)頃で,昭和32年のタチウオの漁獲量は4トンだったものが,1973年には106トン,1980年には1962トンに増えています。
 また,原因の一つに,道具の改良があります。金柄徹著「家船の民族誌」によれば,昭和45年頃に豊島の漁師が,釣り糸をテトロンから耐久性のあるワイヤーに変更し,またモーターで巻き上げる「ワイヤ繰り機」と「タチ釣り機」を製作しました。これらの技術や道具は,日本全国に普及し,今でもタチウオ釣りに使われています。

4.平成17年に豊浜町と合併した呉市は,この品質の高いタチウオを,豊島産として出荷し,地域振興を図る取り組みに地元漁協・呉市・広島県とともに着手しました。
 平成18年11月に地元に2つあった漁協を合併し「呉豊島漁業協同組合」を設立し,平成19年3月には,呉市水産振興ビジョンに「豊島タチウオのブランド化」を掲げ,出荷先の選定,品質管理の手法,ロゴマークの作成などソフト事業を進めました。
 並行して,共同集出荷に必要な大型製氷施設と荷さばき施設のハード整備を行い,平成21年3月に完成させました。平成21年8月から,大阪市中央市場等への共同集出荷がスタートし,平成24年度には446トンの出荷をしました。
 近年,瀬戸内海全般の漁獲量の減少もあり,平成28年度は115トンに減少してきていますが,新規漁業就業者の受入れを積極的に行ってきており,県内外から多くの若者が移住して来て,後継者の育成にも努めています。

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4 品質管理の概要

漁獲方法と鮮度維持の方法
  ア) 網を使わず,釣り漁法で一匹ずつ釣り上げる。
  イ) 船上で表皮の傷や剥がれ,尻尾切れの有無等の選別を行い,サイズ別に発泡スチロール箱に分ける。
  ウ) 箱詰めしたタチウオの上に,ビニールパウチを被せ直ちに氷締めにする。
  エ) 他産地のものと区別するため,ビニールパウチは,「豊島タチウオ」の文字とロゴマークが入ったものを使用する。
  オ) 発泡スチロール箱には,釣り上げた漁師の氏名が記載され,品質管理の責任を明確にする。
  カ) 出荷用製品は,すべて豊島港に水揚げし,荷さばき施設へ集荷する。 
  キ) 漁協職員が,表皮の傷,剥がれ,腹切れ,尻尾切れなどをチェックし最終製品の確認を行う。

『豊島タチウオ』の出荷規格
  ○ 下記11区分により,同サイズのタチウオ(鮮魚)を発泡スチロール箱に氷締めにする。
  ○ 表皮にキズや尻尾切れのあるものは,豊島タチウオとして出荷しない。

 
区分 特3 特4 特5 特6 特7 特8 丸大 丸小
一箱の概ねの数量 3匹 4匹 5匹 6匹 7匹 8匹

9~
10匹

11~
12匹

13~
16匹

17~
20匹
21~
25匹