善通寺の手水鉢|呉市の文化財
印刷用ページを表示する掲載日:2015年11月1日更新
善通寺の手水鉢
ぜんつうじのちょうずばち
市有形文化財 昭和61.12.1
この手水鉢は,広町善通寺境内に伝えられたもので,花崗岩(かこうがん)でつくられ,縁に多くの盃状穴(はいじょうけつ)が刻まれています。
また,側面には「元禄弐年(1689年)四月十七日 中嶋(なかじま)や 釋 ユウ意(しゃく ゆうい[ユウは遊のしんにょうなしの字])」(釋 ユウ意は,広長浜の中嶋屋二郎兵衛とされる)の文字が見られます。
盃状穴は,旧石器時代のヨーロッパに発現し,新石器時代以降は広くユーラシア大陸各地にも見いだされています。日本においても,弥生時代(約2千年前)の北九州の支石墓の蓋石や,後年の石棺の蓋石にも造刻されているものが発見されており,中国地方においても発見されています。盃状穴は,豊作や安産祈願など庶民の呪術的信仰の現れとみられてますが,「釋 ユウ意」の法名が彫られていることから,「供養」のためと考えるのが自然であり,民族学的に意義があるものといえます。
所在地
広三芦2丁目
交通案内
「塩焼」バス停下車,徒歩約5分